「特定秘密保護法施行5年にあたり、改めて同法の早期廃止を求める会長声明」(2019年11月27日)(本イベントは終了しました。)


  特定秘密の保護に関する法律(平成25年法律第108号。以下「秘密保護法」という。)は、2014年(平成26年)12月10日に施行され、まもなく5年となる。
  秘密保護法が市民の基本的人権を侵害し、憲法13条、21条等に違反するおそれが極めて高い法律であることから、当会は、同法施行日に「特定秘密保護法の施行に抗議し、同法の廃止を求める会長声明」を発した。
  2014年12月10日の施行日から同月31日までの特定秘密指定は382件(行政文書数としては18万9193)であったところ、2018年12月31日現在では、551件(行政文書数としては44万0019)となっている。この約4年間だけで、指定件数は169件増加(1.44倍増加)、行政文書数は25万0826増加(2.32倍増加)となってしまっている。特定秘密の概念及び範囲は曖昧であり、主権者が知るべき情報のうち、どのようなものが、どのような理由で特定秘密に指定されているのかがわからない状態が進行し、かつ深刻化している。知る権利(憲法21条1項)の侵害が恒常化していると言わざるを得ない。
  また、特定秘密を取扱う公務員等に対して行われる「適性評価制度」は、2015年に9万6714件、2016年に2万0849件、2017年に1万8007件、2018年に2万1330件実施され、評価対象とされた公務員等の人数は、延べ12万人に達している。適性評価制度は、対象となる公務員及びその家族の、信用情報、精神疾患、犯罪歴等のセンシティヴ情報も調査事項とされており、プライバシー権(憲法13条)の侵害が恒常化していると言わざるを得ない。
  このように、秘密保護法施行5年を迎えた今、当会の懸念した権利侵害の状況は、恒常的なものとなっている。そこで改めて、秘密保護法の早期廃止を求める。また、廃止されるまでの間、特定秘密記載文書を、全て国立公文書館等に移管する等の措置をとり、秘密指定された情報の内容及び指定の当否について、将来の検証を可能にすることを強く求める。

2019年(令和元年)11月27日
                                                                  

京  都  弁  護  士  会

会長  三  野  岳  彦
      


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