旧京都地方裁判所所長官舎および旧京都家庭裁判所所長官舎の問題にかかる要望書(2007年10月18日)


2007年10月18日


財務大臣  額賀  福志郎  殿

京都弁護士会                      

会  長  中  村    利  雄

同公害対策・環境保全委員会

委員長  吉  田    雄  大


要  望  書


  下記のとおり要望いたします。

要望の趣旨

    旧京都地方裁判所所長官舎(以下「旧京都地裁所長官舎」という。)について、文化的価値を有する歴史的建物である可能性があることをふまえ、さらなる調査を行った上で、文化財として保存するなど必要な措置をとっていただきたい。

要望の理由

1  旧京都地裁所長官舎(所在地:京都市上京区五町目町185番地)は、平成19年度中に所長官舎としての用途を廃止され、財務大臣に引き継がれたと聞いています。財務大臣に引き継がれた後、財務大臣が当該国有財産に関し、処分するとの方針を採られた場合には、まずは3ヶ月の間、地方公共団体からの取得要望を受け付け、取得要望がないか、又は所定の契約締結期限である2年以内に契約が締結されなければ、一般入札がされるものと理解しています。
2  旧京都地裁所長官舎は、これまでも京都市が別紙報告書に記載のある京都府立大学の大場修教授に調査を依頼するなど、現存する数少ない公家屋敷の1つである可能性があるとして、その潜在的価値が指摘されていました。今後、より詳細な調査を行う必要があるも、別紙報告書からすれば、歴史的建造物としての高い文化的価値が認められる可能性があります。
  また、旧京都地裁所長官舎は、建物自体の文化財的価値のみならず、京都御所の真向かいに位置し、御所周辺の緑豊かな趣きあるまちなみを形作っており、京都の歴史的景観を形成するという重要な役割を担っています。
  そこで、まずは、文化庁や京都市等と協力の上、旧京都地裁所長官舎についてさらなる調査を行い、その文化財的価値が認められた場合には、資料館として公開するなど同建物の保存に必要な措置をとっていただきたいと考える次第です。
  文化財保護法第3条は、政府及び地方公共団体に対し、文化財の保存が適切に行われるよう努めることを求めています。
  御庁も、国有財産の保有ないし処分を考えるに当たっては、その文化的価値に十分に配慮した処分方針の決定を行う必要があると考えます。
3  また、京都市は、今般、「新景観政策」を打ち出し、歴史都市京都の景観の保全再生及び景観形成上重要な建造物の保存を積極的に進めていく政策方針を表明しています。
  京都市内の市街地における歴史的建造物自体が稀少となる中、現存する数少ない公家屋敷である可能性が認められる旧京都地裁所長官舎の価値は計り知れず、京都のみならず国家的財産となる可能性もあります。また、それだけでなく、先述のように、旧京都地裁所長官舎は、京都御所の真向かいに位置し、京都御所と調和して緑豊かな趣きある歴史的景観を形成しており、京都の歴史的景観が失われつつある中、歴史的景観を保つために非常に重要な役割を果たす貴重な建造物といえます。
  御庁もご承知のとおり、国有財産の有効活用に関する検討・フォローアップ有識者会議からも、都市の景観に調和したまちづくりの観点から、国有財産を有効活用することが重要な課題であること、さらには地方公共団体とともにまちづくりを担っていくという視点も重要であるといった意見が出されています。
  京都の歴史的景観の保全再生は、京都のみならず国家的な要請と考えられます。従って、旧京都地裁所長官舎のような、建物としての文化財的価値を有する可能性があるだけでなく、景観形成上も非常に重要な建造物の保全の必要性を今一度確認する必要があると考えます。
4  旧京都地裁所長官舎は、その名の通り、京都地方裁判所の所長官舎として、長年にわたり使用されてきました。その間、京都地方裁判所の近くに位置し、一見して通常の建築物とは異なる風格、趣きある外観を有することから、この建物の存在及び潜在的な価値は、当会会員や法曹関係者にも広く知れるところとなっています。そこで、この度、同建物が京都地裁所長官舎としての用途を廃止されたことから、今後、どのような用途に用いられるのか、あるいは売却されるかという点は、当会においても無関心ではいられず、旧京都地裁所長官舎について、文化財として何ら調査が行われないまま取り壊される恐れを看過することはできません。
文化財保護法第4条は、文化財の所有者及び関係者等に対し、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存して、文化的活用に努めるよう求め、また、一般国民に対しては、文化財の保存、活用を図り、もって国民の文化的向上に資することという同法の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならないとしています。
  当会は、法曹三者の一員として、上記のように、長年にわたり、旧京都地裁所長官舎が京都地裁の所長官舎として利用されてきた経緯等に鑑み、同所長官舎が必要な調査が行われないまま、取り壊されることを阻止し、その文化的価値の検証を行うよう提言する責務を負っているものと考え、本要望を行った次第です。
以  上



2007年10月18日


文部科学大臣  渡海  紀三朗  殿
文化庁長官    青木    保    殿

京都弁護士会                      

会  長  中  村    利  雄

同公害対策・環境保全委員会

委員長  吉  田    雄  大


要  望  書


  下記のとおり要望いたします。

要望の趣旨

  別紙報告書のとおり、旧京都地方裁判所所長官舎(以下「旧京都地裁所長官舎」という。)及び旧京都家庭裁判所所長官舎(以下「旧京都家裁所長官舎」という。)は文化的価値を有する歴史的建物である可能性があることから、「重要文化財」の指定を行うことも視野に入れ、速やかに十分な調査を行っていただきたい。  

要望の理由

第1  旧京都地裁所長官舎について
1  旧京都地裁所長官舎(所在地:京都市上京区五町目町185番地)は、平成19年度中に所長官舎としての用途を廃止され、財務大臣に引き継がれたと聞いています。財務大臣に引き継がれた後、財務大臣が当該国有財産に関し、処分するとの方針を採られた場合には、まずは3ヶ月の間、地方公共団体からの取得要望を受け付け、取得要望がないか、又は所定の契約締結期限である2年以内に契約が締結されなければ、一般入札がされるものと理解しています。
2  旧京都地裁所長官舎は、これまでも京都市が別紙報告書に記載のある京都府立大学の大場修教授に調査を依頼するなど、現存する数少ない公家屋敷の1つである可能性があるとして、その潜在的価値が指摘されていました。今後、より詳細な調査を行う必要があるも、別紙報告書からすれば、歴史的建造物としての高い文化的価値が認められる可能性があります。
  また、旧京都地裁所長官舎は、建物自体の文化財的価値のみならず、京都御所の真向かいに位置し、御所周辺の緑豊かな趣きあるまちなみを形作っており、京都の歴史的景観を形成するという重要な役割を担っています。
  この旧京都地裁所長官舎は、現在、財務省が管理しているものの、今後、財務省の管理下にとどまるのか、売却処分に付されるのか明らかではありません。
  しかしながら、別紙報告書にあるように、この潜在的価値を秘めた旧京都地裁所長官舎が十分な調査を受けない場合に、そのまま取り壊される可能性があるということは、看過できない事態です。
3  旧京都地裁所長官舎の所在地の地方公共団体である京都市は、今般、「新景観政策」を打ち出し、歴史都市京都の景観の保全再生及び景観形成上重要な建造物の保存を積極的に進めていく政策方針を表明しています。
  京都市内の市街地における歴史的建造物自体が稀少となる中、現存する数少ない公家屋敷である可能性が認められる旧京都地裁所長官舎の価値は計り知れず、京都のみならず国家的財産となる可能性もあります。また、それだけでなく、先述のように、旧京都地裁所長官舎は、京都御所の真向かいに位置し、京都御所と調和して緑豊かな趣きある歴史的景観を形成しており、京都の歴史的景観が失われつつある中、歴史的景観を保つために重要な役割を果たす貴重な建造物といえます。
  京都の歴史的景観の保全再生は、京都のみならず国家的な要請と考えられます。従って、旧京都地裁所長官舎のような、建物としての文化財的価値を有する可能性があるだけでなく、景観形成上も非常に重要な建造物の保全の必要性を今一度確認する必要があると考えます。
  文化財保護法第3条は、政府及び地方公共団体に対し、文化財の保存が適切に行われるよう努めることを求めており、御庁は、この努めを率先して担うべき立場にあると考えます。
  旧京都地裁所長官舎の調査等必要な措置に関しましては、京都府及び京都市に対しても要請しておりますが、御庁に対しましては、財務省や京都市等と協力の上、この旧京都地裁所長官舎について、さらなる調査を行い、その価値が認められた場合には、重要文化財としての指定を行う等必要な措置をとってていただくよう求める次第です。

第2  旧京都家裁所長官舎について
1  旧京都家裁所長官舎も、平成19年度中に所長官舎としての用途を廃止されたものの、京都家裁の敷地内に存在することから、財務大臣には引き継がれていないと聞いています。
2  旧京都家裁所長官舎は、その立地条件からか、これまでは、その歴史的建造物としての調査等は実施されておらず、この度、当会公害対策環境保全委員会が京都府立大学の大場修教授に調査を依頼し、同教授と共にこの旧京都家裁所長官舎に赴きました。今回は、建物の間取り図の資料が一切なく写真撮影も許可されない短時間での調査であったことから、歴史的建造物としての重要性が認められるの点を判断するために必要な検証はできていません。
  しかし、別紙報告書からすれば、その歴史的建造物としての価値が存在する可能性は認められ、今後、十分な調査を行う必要性があると考えられます。
  この京都家裁所長官舎は、当面、売却処分がされることはないと聞いていますが、歴史的建造物としての価値が検証されない状態では、そのまま取り壊されてしまう可能性も十分に認められます。
  そこで、御庁に対しましては、この旧京都地裁所長官舎について、まずは正式な調査を行い、その文化的価値を検証していただきますよう要望する次第です。そして、その価値が認められた場合には、重要文化財としての指定等必要な措置をとっていただくよう求めます。

第3  旧京都地裁所長官舎及び旧京都家裁所長官舎は、その名の通り、京都地方裁判所及び京都家庭裁判所の所長官舎として、長年にわたり使用されてきました。その間、各裁判所の近くに位置し(旧京都家裁所長官舎は、京都家庭裁判所の敷地内)、一見して通常の建築物とは異なる風格、趣きある外観を有することから、これらの建物の存在及び潜在的な価値は、当会会員や法曹関係者にも広く知れるところとなっています。そこで、この度、同建物が所長官舎としての用途を廃止されたことから、今後、どのような用途に用いられるのか、あるいは売却されるかという点は、当会においても無関心ではいられず、両所長官舎について、文化財として何ら調査が行われないまま取り壊される恐れを看過することはできません。
文化財保護法第4条は、文化財の所有者及び関係者等に対し、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存して、文化的活用に努めるよう求め、また、一般国民に対しては、文化財の保存、活用を図り、もって国民の文化的向上に資することという同法の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならないとしています。
  当会は、法曹三者の一員として、上記のように、長年にわたり、旧京都地裁所長官舎及び旧京都家裁所長官舎がが京都地家裁の所長官舎として利用されてきた経緯等に鑑み、同所長官舎が何らの調査も行われないまま、取り壊されることを阻止し、その文化的価値の検証を行うよう提言する責務を負っているものと考え、本要望を行った次第です。
以  上



2007年10月18日


京都府知事  山田  啓二  殿
京都市長    桝本  頼兼  殿

京都弁護士会                      

会  長  中  村    利  雄

同公害対策・環境保全委員会

委員長  吉  田    雄  大


要  望  書


  下記のとおり要望いたします。

要望の趣旨

1  旧京都地方裁判所所長官舎(以下「旧京都地裁所長官舎」という。)及び旧京都家庭裁判所所長官舎(以下「旧京都家裁所長官舎」という。)について、文化財的価値を検証するために必要な調査を速やかに行っていただきたい。
2  旧京都地裁所長官舎について、財務省が売却手続きに入った際は、同建物を公共財産として保存するため、取得を申し出るなど必要な措置をとっていただきたい。
3  調査の結果、文化財的価値が認められた場合には、京都府文化財保護条例ないし京都市文化財保護条例に基づく「指定有形文化財」への指定も視野に入れ、必要な措置をとっていただきたい。

要望の理由

第1  旧京都地裁所長官舎について
1  旧京都地裁所長官舎(所在地:京都市上京区五町目町185番地)は、平成19年度中に所長官舎としての用途を廃止され、財務大臣に引き継がれたと聞いています。財務大臣に引き継がれた後、財務大臣が当該国有財産に関し、処分するとの方針を採られた場合には、まずは3ヶ月の間、地方公共団体からの取得要望を受け付け、取得要望がないか、又は所定の契約締結期限である2年以内に契約が締結されなければ、一般入札がされるものと理解しています。
2  旧京都地裁所長官舎は、これまでも京都市が別紙報告書に記載のある京都府立大学の大場修教授に調査を依頼されるなど、現存する数少ない公家屋敷の1つである可能性があるとして、その潜在的価値が指摘されていました。今後、より詳細な調査を行う必要があるも、別紙報告書からすれば、歴史的建造物としての高い文化的価値が認められる可能性があります。
  また、旧京都地裁所長官舎は、建物自体の文化財的価値のみならず、京都御所の真向かいに位置し、御所周辺の緑豊かな趣きあるまちなみを形作っており、京都の歴史的景観を形成するという重要な役割を担っています。
  そこで、まずは、財務省に対し、この旧京都地裁所長官舎について、御庁や文化庁等と協力の上、さらなる調査を行い、その価値が認められた場合には、資料館にするなど公共の用に供することを検討していただきたいと申し入れを致しました。
3  しかしながら、現在、各地で未利用国有財産の売却が進められていることから、財務省は、この旧京都地裁所長官舎を処分するとの方針を採る可能性も高いものと考えます。そこで、仮に、財務省がこの旧京都地裁所長官舎を処分する場合には、まずは所在地の地方公共団体である京都府ないし京都市から取得要望を出していただきたいと考えます。
特に、京都市は、今般、「新景観政策」を打ち出し、歴史都市京都の景観の保全再生及び景観形成上重要な建造物の保存を積極的に進めていく政策方針を表明されています。
  京都市内の市街地における歴史的建造物自体が稀少となる中、現存する数少ない公家屋敷である可能性が認められる旧京都地裁所長官舎の価値は計り知れず、京都のみならず国家的財産となる可能性もあります。また、それだけでなく、先述のように、旧京都地裁所長官舎は、京都御所の真向かいに位置し、京都御所と調和して緑豊かな趣きある歴史的景観を形成しており、京都の歴史的景観が失われつつある中、歴史的景観を保つために非常に重要な役割を果たす貴重な建造物といえます。
  しかしながら、御庁が旧京都地裁所長官舎取得されない場合には、このように歴史的建造物としての価値が存在する可能性のある建造物が、十分な調査を受けない場合に、そのまま取り壊される可能性も高く、これは看過できない事態であると考えます。
  京都府文化財保護条例第3条及び京都市文化財保護条例第3条は、京都府ないし京都市に対し、文化財の保存及び活用のための必要な措置を講ずる努めがあると定めています。
  御庁におかれましては、旧京都地裁所長官舎が所在する地方公共団体として、歴史的建造物の保存を行うことの重要性を今一度認識していただきたく、本要望を行う次第です。

第2  旧京都家裁所長官舎について
1  旧京都家裁所長官舎も、平成19年度中に所長官舎としての用途を廃止されたものの、京都家裁の敷地内に存在することから、財務大臣には引き継がれていないと聞いています。
2  旧京都家裁所長官舎は、その立地条件からか、これまでは、その歴史的建造物としての調査等は実施されておらず、この度、当会公害対策環境保全委員会が京都府立大学の大場修教授に調査を依頼し、同教授と共にこの旧京都家裁所長官舎に赴きました。今回は、建物の間取り図等の資料が一切なく写真撮影も許可されない短時間での調査であったことから、歴史的建造物としての重要性が認められるかという点を判断するために必要な検証はできていません。
  しかし、別紙報告書からすれば、その歴史的建造物としての価値が存在する可能性は認められ、今後、十分な調査を行う必要性があると考えられます。
  この京都家裁所長官舎は、当面、売却処分がされることはないと聞いていますが、歴史的建造物としての価値が検証されない状態では、そのまま取り壊されてしまう可能性も十分に認められます。
  そこで、御庁に対しましては、この旧京都家裁所長官舎について、まずは正式な調査を行い、その文化的価値を検証していただきますよう要望する次第です。そして、その価値が認められた場合には、「指定有形文化財」への指定も視野に入れ、必要な措置をとっていただくよう求めます。

第3  旧京都地裁所長官舎及び旧京都家裁所長官舎は、その名の通り、京都地方裁判所及び京都家庭裁判所の所長官舎として、長年にわたり使用されてきました。その間、各裁判所の近くに位置し(旧京都家裁所長官舎は、京都家庭裁判所の敷地内)、一見して通常の建築物とは異なる風格、趣きある外観を有することから、これらの建物の存在及び潜在的な価値は、当会会員や法曹関係者にも広く知れるところとなっています。そこで、この度、同建物が所長官舎としての用途を廃止されたことから、今後、どのような用途に用いられるのか、あるいは売却されるかという点は、当会においても無関心ではいられず、両所長官舎について、文化財として何ら調査が行われないまま取り壊される恐れを看過することはできません。
文化財保護法第4条は、文化財の所有者及び関係者等に対し、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存して、文化的活用に努めるよう求め、また、一般国民に対しては、文化財の保存、活用を図り、もって国民の文化的向上に資することという同法の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならないとしています。
  当会は、法曹三者の一員として、上記のように、長年にわたり、旧京都地裁所長官舎及び旧京都家裁所長官舎がが京都地家裁の所長官舎として利用されてきた経緯等に鑑み、同所長官舎が何らの調査も行われないまま、取り壊されることを阻止し、その文化的価値の検証を行うよう提言する責務を負っているものと考え、本要望を行った次第です。
以  上



2007年10月18日


最高裁判所長官      島田  仁郎  殿
京都家庭裁判所所長  西村  則夫  殿

京都弁護士会                      

会  長  中  村    利  雄

同公害対策・環境保全委員会

委員長  吉  田    雄  大


要  望  書


  下記のとおり要望いたします。

要望の趣旨

  旧京都家庭裁判所所長官舎(以下「旧京都家裁所長官舎」という。)は文化的価値を有する歴史的建物である可能性があることをふまえ、公共財産として保全・管理に努め、また、文化財としての価値を検証するために必要な調査を行っていただきたい。

要望の理由

1  旧京都家裁所長官舎は、平成19年度中に所長官舎としての用途を廃止されたものの、京都家庭裁判所の敷地内に存在することから、財務大臣には引き継がれていないと聞いています。
2  旧京都家裁所長官舎は、その立地条件からか、これまでは、その歴史的建造物としての調査等は実施されておらず、この度、当会公害対策環境保全委員会が京都府立大学の大場修教授に調査を依頼し、同教授と共にこの旧京都家裁所長官舎に赴きました。今回は、建物の間取り図等の資料がなく写真撮影も許可されない短時間での調査であったことから、歴史的建造物としての重要性が認められるのかという点を判断するために必要な検証はできていません。
  しかし、別紙報告書からすれば、その歴史的建造物としての価値が存在する可能性は認められ、今後、十分な調査を行う必要性があると考えられます。
  そこで、当会は、文部科学省、文化庁、京都府及び京都市に対し、この京都家裁所長官舎の文化的価値を検証するために必要な調査を行うこと、価値が認められた場合には、重要文化財への指定等も視野に入れ、必要な措置をとることを要望致しました。
  この旧京都家裁所長官舎は、当面、売却処分がされることはないと聞いていますが、歴史的建造物としての価値が検証されない状態では、そのまま取り壊されてしまう可能性も十分に認められます。
  文化財保護法第3条は、政府及び地方公共団体に対し、文化財の保存が適切に行われるよう努めることを求めております。また、文化財保護法第4条は、文化財の関係者等に対し、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存して、文化的活用に努めるよう求めています。
  そこで、御庁におかれましても、同法が定める努めを果たすべく、文化財としての価値を検証するために必要な調査を行っていただき、また、旧京都家裁所長官舎を公共財産として保全・管理に努めていただきたいと考え、本要望をする次第です。
3  旧京都家裁所長官舎は、その名の通り、京都家庭裁判所の所長官舎として、長年にわたり使用されてきました。その間、京都家庭裁判所の敷地内に所在し、一見して通常の建築物とは異なる風格、趣きある外観を有することから、同建物の存在及び潜在的な価値は、当会会員や法曹関係者にも広く知れるところとなっています。そこで、この度、同建物が所長官舎としての用途を廃止されたことから、今後、どのような用途に用いられるのか、あるいは売却されるかという点は、当会においても無関心ではいられず、同建物について、文化財として何ら調査が行われないまま取り壊される恐れを看過することはできません。
文化財保護法第4条は、文化財の所有者及び関係者等に対し、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存して、文化的活用に努めるよう求め、また、一般国民に対しては、文化財の保存、活用を図り、もって国民の文化的向上に資することという同法の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならないとしています。
  当会は、法曹三者の一員として、上記のように、長年にわたり、旧京都家裁所長官舎が京都家裁の所長官舎として利用されてきた経緯等に鑑み、同所長官舎が何らの調査も行われないまま、取り壊されることを阻止し、その文化的価値の検証を行うよう提言する責務を負っているものと考え、本要望を行った次第です。
以  上



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