音楽の日々
私の趣味は、いろいろあるのですが、音楽を演奏するのも一つの趣味です。
演奏する楽器は、日本古来の「尺八」と西洋楽器の「アルトサックス」です。
尺八は亡き父の影響もあって、中学校の頃に始めましたので、かれこれ20年近くは吹いていることになりますが、腕前はたいしたことありません。
一応、私が所属している都山流尺八楽会からは弟子を取っても良いというお墨付きである「山」をいただいています。
少し説明をしますと、師匠に入門し、修行を続けて準師範の免許を取ると、師匠の名前の一部をもらって、自分の芸名とします。
例えば、私の父は「泉寶山(いずみほうざん)」という芸名でしたので、私は「泉寶月(いずみほうげつ)」という準師範名を持っていました。
次に、師範になりますと、一人前ということで、自分の名前をつけることができます。
私は、「泉湧山」(いずみゆうざん)という名前をつけ、現在はその名前で、舞台に出ています。
師範というのは、本来は全ての曲を吹け、お弟子さんに教えることができるということですが、私はまだまだというところです。
師匠である父が亡くなった今、自分の技術を向上させるのは私しかいないのですが、尺八は和楽器特有の難しさがあり、さてどうしたものかと考えているところです。
忙しい毎日でも、朝の20分間、竹調べ(サックスでいうところのロングトーン)をして、少しでも良い音を出すにはどうすれば良いのだろうか?と研究しています。
尺八は、父の知り合いや、兄弟子達が活躍されていて、気が置けない反面、面倒もよく見てもらっています。
父の七光りという程のことはないですが、周りに気にしていただけて、とてもありがたいことです。
サックスは、元々とジャズが好きなので、始めました。
子どもの頃家でよく、ビッグバンドの曲が流れていました(もちろん、尺八も流れていましたが、西洋音楽も流れていて、他には、ルイアームストロングやハリー・ベラフォンテ、ビートルズなども流れていました)。グレンミラーや、ベニー・グッドマン 、デュークエリントンなどの曲を聴いて育ちました。
そういう家だったので、いつかはサックスを自分で吹きたいと思っていましたが、楽器の値段が高いので、遠い夢物語でした。
しかし、「スイングガールズ」という映画を見て、あまりの楽しそうな雰囲気を目の当たりにしたときに、司法試験に合格したらやはりサックスをしようと決意して、合格と同時に始めました。
サックスとう楽器は、音は鳴りやすいけれど、それ以外が難しく、奥が深いということを言われています。僕は体験レッスンの頃から音も鳴らず、なんて難しい楽器だと思いましたが、鳴り出すととても楽しいのです。
サックスは、尺八とは比べものにならない爆音がするので、練習時間場所を選ぶ楽器ですが、吹いていてとても楽しいものです。
ピッチ(音程)がなかなか合わず、いつも高くなりがちです(尺八は、メリ吹きなので、音程が低いです)。これは、リードを強くかみすぎということを教わりましたので、今直している最中です。
おもしろいもので、サックスで吹ける音楽は、尺八でも吹けます。埼玉県和光市で研修を受けていたときに、樹林公園という場所で尺八の練習をしていたのですが、友人の前で「カントリーロード」を吹いて、感心されました。
反対に尺八の曲もサックスで吹けるはずなのですが、尺八は技法がいろいろあって、サックスで音楽として吹くのは難しいのかもしれません。
尺八を大きな舞台で箏、三味線と合わせるのも良いのですが、10畳ぐらいの和室で、尺八、箏、三味線それぞれ一人ずつや二人ずつの演奏は、体に生の音が響いてきて、とても良いものです。あまりなじみのない楽曲でも良いものだなぁと思います。
サックスは室内で聞くには大きな音過ぎるので、大きな舞台や外で聞くものだと思います。
侘び寂びがどういうものかを実感できるほど修行を積んではいませんが、音楽がそれぞれの生活に密着しているものから生まれたものであるというのは、何となく分かります。
これからも、両方を楽しみながら、70になっても80になっても、吹いていられるようになりたいです。
弁護士に依頼をされる方は、人生の一大事に直面されていて、音楽どころではないと思われるかもしれません。
でも、そういうときにこそ、一服の清涼剤として、音楽を聴いて、世俗から少しでも離れると、気が休まり、良い知恵が浮かぶこともあります。
邦楽はなじみのない方が多いですが、無料の演奏会も多いですし、是非足を運んで、別世界に触れて下さい。
必ず良いことがあります(多分)。