新しい土地


私は京都のとある企業の中で会社員として仕事をしています(企業内弁護士だとか、インハウスローヤーと呼ばれたりします)。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、企業内弁護士の人口は最近増えつつあります。仕事内容は会社によって様々ですが、企業内弁護士という名の通り、その会社の中で巻き起こる様々な法律問題に関する仕事をしています。

勤務先の会社は京都にあり、私の住まいも京都にあります。

私は、大阪生まれ大阪育ちの人間でして、京都に住むのは今回が初めてのことです。

引っ越した時に最初に思ったのは、「この住所、なんて読むのだろう。やけに長くて毎回手が疲れるなあ。」という単純な、ほぼ文句に近い感想でした。

また、京都の人は、どの都道府県民よりも、自分たちの京都をこよなく愛しているイメージが強かったので(どの人にも郷土愛のようなものはあるでしょうが、京都の人は特に)大阪人の私が、この土地に馴染めるのか少し不安でありました。

しかし、その不安も京都に暮らす方々との新たな出会いによって、無用なものであったことに気付かされました。
私は銭湯が好きで、近くの銭湯に頻繁に通っています。

「スーパー銭湯」と呼ばれる大型施設ではなく、昔ながらの小さい銭湯です。大人3人が入れば定員オーバーの露天風呂、なぜか少し室温が低いサウナ、水の勢いが弱すぎるシャワーなど気になる点はたくさんあるのですが、その雰囲気が現代社会の日常からかけ離れており、お気に入りの場所です。

銭湯に通い始めて1週間も経たないうちから、有難いことに、様々な人達から色々声をかけていただきました(新入りは目立つのでしょうか。)

番頭さん、いつも泡まみれのおじいさん、なぜか大きいラジオを脱衣所に持ち込むおじさん、時には外国人観光客の方々。ほとんどが他愛のない会話ですが、楽しいひと時です。

また、近くの定食屋さんでは、よく栄養バランスのことを気にして声をかけてくださるようになりました。(監視してくれる人がいないとついつい暴飲暴食してしまいますよね…)

ほんの些細なことかもしれませんが、住み慣れない土地で、気軽に会える知り合いも近くにいない環境では、仕事を離れてほっとできる瞬間です。

このような日々の些細な喜びに支えられ、京都という新しい土地で、仕事を頑張っていきたいと考えています。

西野  昌倫(2015年9月7日記)


関連情報