地蔵盆


皆様、はじめまして。京都弁護士会の日花勝彦と申します。

8月下旬頃にこのブロブの執筆の依頼を受け、何を書こうかと考えていたのですが、先日、ちょっと意外な出来事がありましたので、今回はそれについて書かせていただきます。

先日のことですが、私が妻と私の実家に車で向かっている途中、私のケータイの着信音が鳴り、私は運転中でしたので妻に替わりに携帯を見てもらいました。それは、「今日は地蔵盆やっていて子供がいっぱいいるから車注意しいや」という母からのメールでした。
そのメールの内容を妻から聞いて、「もう夏休みも終わりなんやな、俺ももう一回夏休み欲しいな」と私がつぶやくと、「翌月の生活はどうするの」という冷静なお言葉が妻から返ってきました。そして、その後、妻は、「地蔵盆ってなに?」という意外な言葉を発しました。
私の育った滋賀県内の町内では毎年地蔵盆が行われていましたし、何の根拠もなく「お盆」が全国的行事なら「地蔵盆」も全国的行事だろうと勝手に思っていたのですが、実は、地蔵盆って、全国的な行事ではなかったのです。というより、主に近畿地方だけで行われている行事だったのです(正確には、近畿地方以外にも北陸地方など一部の地方では行われているようです)。

ところで、この地蔵盆という行事、私の育った町内では子供たちにお菓子を無料でたくさん配ってくれる楽しい行事なのですが(実際は親が町内会費を払っているから配ってもらえるのですが)、子供の頃、この行事がやって来るのが楽しみだったかというと、私は正直あまり楽しみではありませんでした。というのも、この行事がやって来るとどうしても楽しかった夏休みの終わりを意識させられ、同時に、これまで見ないようにしていた机の上に山積みされたある嫌なものの存在に直面させられてしまうからです。私は、地蔵盆が終わると、毎年、半泣きでその嫌なものと格闘する日々を過ごすこととなっていましたので、地蔵盆がやって来るのは正直あまり嬉しくありませんでした。たぶん、近畿地方の子供たちは、一部の優秀な方を除いて、みんな同じような思いを持っていたのではないでしょうか。

その後、実家に着くと、実家には紙袋いっぱいのお菓子が置いてありました。親に話を聞くと、最近は子供の数が減ってきたのでお菓子が余ってしまうらしく、子供だけじゃなくお年寄りにも配られるようになったそうです。私が再びお菓子を貰える頃には、もう夏休みの終わりを気にする必要もありませんし、あの嫌なものに悩まされることもありませんので、地蔵盆が楽しい行事になっていそうです。

                                                                          

日花  勝彦(2019年10月1日記)

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