声明

新型コロナウイルス感染症に対する在日米軍の杜撰な検疫体制に強く抗議するとともに、在日米軍への検疫法の適用を明記するよう日米地位協定の改定を求める会長声明(2022年2月16日)


1  在日米軍の対応
  2021年(令和3年)11月26日、WHO(世界保健機関)が、新型コロナウイルス感染症のオミクロン株を懸念される変異株に指定したことを受けて、日本政府は、同月30日から外国人の入国を禁止し、日本人等についても感染が確認された国・地域から帰国する場合に隔離するという厳格な措置を講じた。
  2021年(令和3年)12月17日、沖縄県内の米軍基地キャンプ・ハンセンにおいて、大規模なクラスター(感染者集団)が発生したこと及び同基地の日本人従業員が同県内初めてのオミクロン株に感染したことが判明した。その後、沖縄県をはじめ在日米軍施設周辺の一部の自治体において、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、2022年(令和4年)1月13日、林芳正外務大臣は、「在日米軍が要因の一つである可能性は否定できない」と述べた。
  日本政府は、前記クラスターが発生した部隊だけでなく全ての在日米軍の施設・区域において2021年(令和3年)9月3日以降は出国前検査を実施していなかったこと、また、入国後時にも検査を実施していなかったこと等、日本で講じられている前記措置と整合的でない取り扱いがされていたことを明らかにしている。また、前記クラスターの発生が判明した直後から、沖縄県が在日米軍に対し感染拡大防止措置を繰り返し強く求めていたにも関わらず、米側が出国前検査を再開したのは2021年(令和3年)12月26日であった。

2  日米地位協定
  市民の生命と健康を守るために日本政府が講じた前記措置が在日米軍に適用されない理由は、日米地位協定に起因する。同協定では、在日米軍のわが国における取り扱いについての定めが置かれているが、「米軍基地や米軍がわが国の法のコントロール(規制)を受けない仕組み」であるという問題点が指摘されている(後記2014年10月日弁連の提言1頁)。新型コロナウイルス感染症は、わが国の検疫法において検疫感染症として位置づけられ、同法第13条に基づく検査等が実施されるところ、在日米軍には検疫法が適用されず前記の杜撰な対応につながったのである。
  京都府内には米軍経ヶ岬通信所が存在し、同施設において最大で米軍関係者計160人が勤務しているところ、同施設内においても新型コロナウイルスの感染が確認されており、当会は、現状の日米地位協定のもと在日米軍に検疫法が適用されないという重大な問題を看過することはできない。
  日弁連は、従前から日米地位協定の問題点を指摘しており、近年では2014年(平成26年)2月20日の「日米地位協定に関する意見書」、同年10月の「日米地位協定の改定を求めて―日弁連からの提言―」において、日米地位協定の抜本的な見直しが必要であると述べており、2022年(令和4年)2月4日には「在日米軍への検疫法の適用等の日米地位協定への明記及び在日米軍基地からの新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための緊急措置を求める会長声明」を出している。
  また、全国知事会は、2018年(平成30年)7月27日に全会一致で採択された「米軍基地負担に関する提言」の中で、「日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として米軍にも適用させること」を求めているほか、2022年(令和4年)1月12日には新型コロナウイルスの感染急拡大を受けた緊急提言において、「在日米軍基地について、出発地検査の厳守や移動制限期間中の制限強化など、水際対策を徹底する」こと等を強く求めている。

3  結論
  当会は、新型コロナウイルス感染症に対する在日米軍の杜撰な検疫体制に強く抗議するとともに、わが国の市民の人権や生活を守るために在日米軍への検疫法の適用を明記するよう日米地位協定の改定を求めるものである。


  2022年(令和4年)2月16日

京都弁護士会                

会長  大  脇  美  保


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