ロシア連邦のウクライナに対する軍事侵攻に強く抗議する会長談話(2022年3月3日)


  本年2月24日、ロシア連邦は、ウクライナに対する軍事侵攻を開始し、民間人を含む多数の犠牲者及び多くの避難を余儀なくされている人々がでていると報じられています。同月26日には日本政府もロシア軍の侵攻を「侵略」であると認定しました。同月28日には停戦交渉がはじまるも、その最中も激しい戦闘が継続していると報じられています。
  戦争は、ある日突然、市民の生命、身体の安全、健康、生活の平穏などのすべてを奪う、最大の人権侵害です。我々人類は、過去に繰り返された世界大戦などで、たくさんの人の命を失い、甚大な被害を体験してきました。
  国連憲章第2条第3項は「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。」と規定し、同条第4項は「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇の又は武力の行使を、いかなる国の領土保全または政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と規定しているところ、今回のロシア連邦のウクライナへの軍事侵攻は、明確に国連憲章に違反するものであり、決して容認できません。
  日本国憲法は、過去に繰り返された世界大戦などの反省のもと、前文で恒久的平和主義を規定し、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼し、全世界の国民が平和にうちに生存する権利を有することを確認しています。さらに第9条において、「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定しています。
  私たち弁護士は、この平和主義の理念を掲げる日本国憲法の下、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命としており、今回のロシア連邦のウクライナへの軍事侵攻、及びこれによる人権侵害行為について、断じて許すことはできません。
  よって、当会は、ロシア連邦によるウクライナへの軍事侵攻に強く抗議するとともに、日本政府が世界各国各機関と連携協力し、平和的解決の一刻も早い実現のために、外交等の一層の努力をされることを求めます。

      2022年(令和4年)3月3日

京都弁護士会                    

会長  大  脇  美  保
      


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