「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」報告書に対する意見書


「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」報告書に対する会長声明



1  2022年(令和4年)10月6日、特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会が書面開催され、消費者庁から、取りまとめの報告書 (以下「本報告書」という。)が公表された。
本報告書の内容は、消費者の真意性確保のための説明の実施、事業者の禁止行為の設定等、消費者団体等の意見を取り入れたものであり、概ね賛成できる。今後、政省令を制定するにあたっては、同報告書の内容を十分に反映させ、承諾の真意性の確保と書面の消費者保護機能の確保を図ることを求める。
2  しかしながら、以下の点には反対である。具体的には、本報告書は契約書面等の具体的な提供の手段について、事業者が用意したウェブサイトに掲示して閲覧させる方法やダウンロードさせる方法も許容している(本報告書7頁)。この点については、契約書面等をPDFファイル等にして電子メールで送信する方法に限定すべきである(当会は2022年(令和4年)4月21日付「契約書面等の電磁的方法による提供に関する政省令の在り方についての意見書」においてもこれを求めている)。理由は、次のとおりである。
事業者が用意したウェブサイトに掲示して閲覧させる方法やダウンロードさせる方法は、消費者が契約書面等を閲覧または受領するまでにウェブサイトにアクセスする行為が要求される。そのため、消費者がウェブサイトへのアクセス方法がわからず、契約書面等まで辿りつけないことや、ウェブサイトにアクセスするのにパスワードやIDが要求される場合に、パスワードやIDを忘れてしまうこと、事業者がアクセスやダウンロードの期限を設けている場合に、その期限を経過してしまうことにより、そもそも契約書面等を確認できない事態が起こりうる。
したがって、消費者保護の観点からは、契約書面等の具体的な提供方法として契約書面等をPDFファイル等にして電子メールで送信する方法が適切であり、政省令を制定するにあたっては、この方法に限定すべきである。

2022年(令和4年)11月24日

京都弁護士会              

会長  鈴  木  治  一
      


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