京都市の「みんなが暮らしやすい魅力と活力のあるまち」の実現に向けた都市計画の見直し案に対する意見書(2022年11月28日)


2022年(令和4年)11月28日

京都市長  門  川  大  作  殿
京都弁護士会              

会長  鈴  木  治  一
  

京都市の「みんなが暮らしやすい魅力と活力のあるまち」の実現に向けた都市計画の見直し案に対する意見書


意見の趣旨


第1  2022年(令和4年)10月「みんなが暮らしやすい魅力と活力のあるまち」の実現に向けた都市計画の見直し案のうち、諸課題の解決の方策として、高さ規制の緩和(一部地域での撤廃を含む)、容積率の緩和、建ぺい率の緩和及び住居系用途地区の商業系ないし工業系用途地区への変更を行うことに反対する。

第2  都市計画の見直しを検討するにあたっては、次のとおりの手続を経るべきである。
1  新景観政策の強化・修正・緩和などの都市計画の見直し(微修正を除く)を検討するにあたっては、非公開の少人数での有識者委員会方式ではなく、都市計画、建築、法律、福祉、教育等の各分野の専門家及びこれまでまちづくりに取り組んできた住民・市民(団体)で構成する審議会を設置して答申を求めること
2  新景観政策以降で京都市が行ってきた規制緩和政策に対する検証及び評価を行った上で、まちづくりの主体である住民・市民に対して、都市計画の見直し案の内容を適切に説明するとともに、都市計画の見直しに関係する各地域において、当会の2022年(令和4年)8月25日付当会意見書2のとおりボトムアップ型の住民参加を図ることにより、地域住民の意見を丁寧に聴取すること
3  都市計画の見直しにあたっては、上記1の答申及び2の手続きをふまえて複数案(現状維持を含む少なくとも3案)を提示した、初期(素案)段階からのパブコメを3か月間以上の提出期限を確保して実施すること
4  議会での十分な審議を経ること

意見の理由

第1  経緯
1  京都市は、2022年(令和4年)10月17日「みんなが暮らしやすい魅力と活力のあるまち」の実現に向けた都市計画の見直し案(以下「本都市計画見直し案」という。)を公表し、10月17日から11月16日まで、市民意見の募集(以下「本パブコメ」という。)を実施した。
2  本都市計画の見直し案は、2021年(令和3年)9月に改訂した「都市計画マスタープラン」(以下「2021年マスタープラン」という。)をふまえ、規制緩和を図る地域と内容を、「駅周辺等にふさわしい都市機能検討委員会」(以下「有識者委員会」という。)に諮問(2021年12月)し、2022年(令和4年)9月の「答申」を受けて策定したもので、本パブコメだけで、広範な5地域〔①京都駅周辺、②西院駅周辺など市街地西部工業地域、③らくなん進都(十条・上鳥羽口周辺など)、④外環状線沿道(山科駅~六地蔵駅周辺など)、⑤市境エリア(桂川・洛西口周辺など)〕について、用途地域の変更、高さ・容積率・建ぺい率の緩和を図ろうとするものである。
3  京都市では、ここ数年、新景観政策(2007年9月施行)の緩和が繰り返されてきた。本都市計画見直し案は、既に高さ・容積率が大幅に緩和された京都駅周辺の再緩和を含め、新景観政策を骨抜きにするものであるとともに、新景観政策以前にもみられなかった極端な規制緩和をも含むものである。
新景観政策は、1980年代後半以降の地価高騰を背景として、高さ・容積率をぎりぎり一杯に使ったマンション・ビルの建築等により、歴史都市・盆地都市京都の三方の山並みの眺望や京町家をはじめとする伝統的な町並みとの調和が無秩序に破壊され、合わせて住民の住環境が悪化したことに対し、景観と住環境の保全・再生を求める20年にわたる住民・市民の運動が結実したもので、高さ規制の強化(歴史的中心市街地の内部地区で31mから15mへの引き下げ、大通り沿いでの45mから31mへの引き下げ等)と景観コントロールの強化(景観地区=美観地区の拡大・強化や眺望景観創生条例の創設)はその核心をなすものである。
当会は、2007年(平成19年)2月9日付意見書で、新景観政策について要旨次のとおりの意見を表明している。
「素案の『高さ制限の引下げ』を初めとした基本方向に賛同するとともに、なお素案には容積率の引き下げがなされていない等、不十分な点や特例許可制度等問題点があることを指摘するとともに、速やかに新景観政策を実施し、その上で、不十分な点や問題点については住民参加の下に、今後の更なる見直し、詳細化を図ることを求める。」

新景観政策施行時における高さ規制の強化の内容は、下図のとおりである。

  [図省略]

4  今回の都市計画の変更は、これを大幅に緩和するものである。

  [図省略]

具体的には、以下のとおりである。薄い網がけは、地域の生活や景観に影響を与える変更を表し、濃い網がけは、地域の生活や景観に甚大な影響を与える変更を表している。

  [図省略]

5  有識者委員会は、答申において、現状京都市が抱える種々の課題(若年層・子育て世代の流出など)への方策として、用途地域の変更、高さ規制や容積率の変更など、規制緩和をするべきであるという結論を導き出した。
しかし、本意見書公表時においても有識者委員会の会議録が公開されておらず、その検討過程が明らかにされていないことから、上記課題解決に対する方策として、なぜ上記のような規制緩和が必要であるかについては、全く不明のままである。

第2  人口減少対策として、建築規制を緩和する手法は効果がないことが、これまでの京都市の施策によって実証されていること
1  京都市は、「人口減少に歯止めをかけること」を目指して、2015年(平成27年)に都市計画を見直し、以下の5つの地域で、大幅な建築規制の緩和を行った。

(1) 京都駅周辺エリア

  [図省略]

(2) 太秦天神川エリア

  [図省略]

(3) 竹田駅・くいな橋駅周辺

  [図省略]

(4) 桂川

  [図省略]

(5) らくなん進都(十条駅・上鳥羽駅)

  [図省略]

2  京都市は、2019年(令和元年)12月には、「持続可能な都市の構築」及び「新景観政策の更なる進化」に向けた都市計画の見直しとして、大幅な規制緩和を行った。

(1) 五条通沿道(JR丹波口駅~西大路通)
  
  [図省略]

(2) 御池通(JR二条駅~西大路通)

  [図省略]

(3) 葛野大路通沿道(太子道~天神川、三条通~四条通)
  
  [図省略]

(4) 国道171号~祥久橋~国道1号間の道路の沿道

  [図省略]

(5) らくなん進都

  [図省略]

(6) 四条通以南の工業地域等(従来の20m第5種高度地区の区域)

  [図省略]

3  さらに京都市は、同年には、京都駅周辺における「文化芸術都市・京都」の新たな文化ゾーン創出に向けた都市計画の見直しを行った。
        
  [図省略]                          

4  このように京都市は、同じような地域に、同じような規制緩和を繰り返している。
2015年(平成27年)の都市計画の変更(規制緩和)の理由は、人口減少に歯止めをかけることであった。その後、それらの地区の建蔽率、容積率、高さがすべて消費しきられているとの事実はない。現に人口の増加は認められなかった。
にもかかわらず、本都市計画の見直し案についても、ほぼすべての地域が、今回も規制緩和の対象となっており、その内容は人口減少に歯止めをかけることを理由として更なる規制の緩和を行うこととしている。
そうすると、今回の規制緩和は、人口減少に歯止めをかける方策としては効果がなかった方策を、また採用するということになり、政策自体に必要性も、合理性も認められない。
「規制を緩めれば建物が建つだろう。建物さえ建てば、人口が増えるだろう。」という安易な考え方では、人口は増えない。住むのは人であり、人にはニーズがある。人のニーズは、環境、景観、買い物、暮らしやすさ、雇用、子育てのしやすさ、治安など数多くある。それらを整備することが先決であることを如実に物語っている。京都市は、政策のベースを大転換する必要がある。
5  すなわち、本都市計画の見直し案は、人口流出(減少)とりわけ若年・子育て世代の減少に対する対策であるとされている。
しかしながら、第一に、人口が急激に減少しているのは、歴史的市街地(4大路内)ではなく、郊外地であり、とりわけ洛西ニュータウンや向島ニュータウンでは、極端な減少傾向がみられる。
歴史的中心市街地では、人口は微増する一方で、近時の過剰なホテル建設問題や不動産の投機的利用による地価高騰が問題であるが、これは地価高騰対策の問題であり、規制緩和により地価が低下するわけではない(逆に、新景観政策の実施にあたっては地価が低下するからとの反対論が展開された)。
また、住居系地域が商業地域や工業地域に変更されることになれば、日影規制の撤廃、建て詰まり、圧迫感などで住環境が悪化し、合わせて、地上げ・底地買いを招き、結局のところ、住民が住み続けることができなくなるおそれが高い。
第二に、若年・子育て世代の増加をはかるために最も重要なのは、保育所やアフタースクールの充実(そこで働く者の労働環境の充実を含む)、保育料・学費・給食費(給食の充実を含む)の減免などの、子育てし易い環境整備である。
住環境としては、高層マンションではなく、中低層で公園・広場・緑地が充実していることが重要である。
そして、何よりも、若者・子育て世代が住める不動産価格や賃料であることが必要である。例えば、京都駅東南部には広大な未利用市有地があるが、民間の商業施設として売却・賃貸するのでなく、若者や子育て世代が居住できる中低層の市営住宅を建設すべきである。これなどは、すぐに実行しうる施策である。
なお、京都市の財政危機問題が背景にあるとの指摘もあるが、子育てしやすい環境整備の面での支出を抑えることは、京都市は子育てしにくい都市であるとの評価を受けることにつながり、将来の人口減少につながる、負の連鎖を招くものである。逆に、京都市は子育てのしやすい都市であるとの評価を高める施策により、若年層や子育て世代の人口増加をはかれれば、市民税や将来的な固定資産税の増収にもつながり、将来的には財政問題の改善に寄与する要因となる。
京都市が、歴史都市・文化都市として全国的・世界的にも極めて魅力のある都市であることは周知の事実であり、また、大学のまちとして全国からの多くの若者が学生生活を送る都市でもあることから、本来は、若年・子育て層の流入を図る条件は、他都市と比較して出発点において優位であるのだから、安易に規制緩和を指向するのでなく、その優位性を生かしながら積極的な施策をとることが求められている。

第3  エココンパクトな都市構造と矛盾すること
2015年(平成27年)の規制緩和では、「エココンパクトな都市構造」、すなわち駅周辺に人口を集中させ効率的な都市経営をおこなうことを標榜して規制緩和を行うとしていた。
ところが、今回の規制緩和は、駅周辺ではないところを大々的に規制緩和するものであり、明らかに都市政策に矛盾がある。

第4  結局規制緩和そのものが目的ではないかとの誤解を生じさせること
1  上記のとおり、2015年(平成27年)の規制緩和の根拠は、人口減少に歯止めをかけることであった。そして、駅周辺に人口を集中させることで都市開発の調和を保とうとするものであった。
ところが、今回の都市計画の変更は、まさに人口減少に歯止めをかけるという全く同じ目的で、近郊部を大々的に規制緩和するものであり、政策に矛盾がある。
このような矛盾した政策をなぜ行わねばならないのかについての説明なしに、このような政策転換を行うと、結局規制緩和そのものが目的ではないかとの誤解を生じさせ、行政不信を招く。
2  また、京都市は、上記の2015年(平成27年)の規制緩和政策以後においても、五条通等の高さ規制の緩和や、いわゆる特例許可制度の事実上の緩和など、新景観政策で定めた規制を、部分部分において緩和する政策を打ち出している。
そうであれば、京都市は、今般の都市計画の見直し案までに打ち出された種々の規制緩和政策につき、それが京都市で生活する市民・住民にどのような影響をもたらしたのかにつき、これを検証した上でその結果を公表すべきところ、そうした具体的な評価は明らかにされていない。
このような状況下においては、京都市が、現在抱える各種課題の解決策として打ち出した今般の都市計画の見直し案についても、京都市で生活する市民・住民において、その影響につき適切な意見を述べる基礎が欠けていると言わざるを得ず、この点も、行政への不信を招く一要因となっている。これは、今般の都市計画の見直し案が大規模な規制緩和政策であり、後からもとに戻すことが事実上困難という意味で不可逆的な性質を有していることも鑑みれば、なおさらである。

第5  都市の独自性をなくしては、他都市との競争に勝てないこと
1  今回の都市計画の変更は、他の都市で見られるようなタワーマンションの建築を許すなど、京都の独自性を喪失することになるのは時間の問題である。
人口減少という厳しい外部環境を目の前にして、コモディティ化、すなわち何処とも区別のつかない、似たり寄ったりのまちなみにすれば、競争に競り負ける危険がある。
京都独自のブランド力は、長年に亘る景観や都市環境の維持保全の結果であって、所与不変のものではない。
これを掘り崩すような施策は、まさに自滅行為である。
2  本都市計画の見直し案では、「都市格」を向上させた都心部の【熱】を受け止めるという情緒的な言葉で、これまで都市計画の「保全」・「再生」・「創造」としていた地域区分さえ曖昧にして、「再生」地域としてきた京都駅周辺や市街地西部の規制緩和を進めようとしている。
歴史的中心市街地(都心部)の「都市格」が向上したのは、新景観政策により高さ規制を強化(31m→15m、45m→31m)し、合わせて景観規制(景観のコントロール)を拡大・強化したことが、主因である。
これに対し、今回の規制緩和地域は、新景観政策において、高さ・景観規制が十分に強化されないまま残された地域である。また、容積率については、引き下げられていない。
本都市計画の見直し案は、十分に強化されていない規制を、あろうことか緩和するものであるから、これによって「都市格」の向上をもたらすと考えるのは根拠がなく、むしろ、「都市格」を下げるものと言わねばならない。
殊に、高さ規制の緩和(一部地域では撤廃)は、新景観政策により保全・再生しようとした京都の景観、とりわけ盆地都市における山並みの眺望や町並みの連続性が失われ、50年、100年後を展望した新景観政策を大きく後退させるものである。
また、容積率、建ぺい率の緩和や住居系用途地域の商業系用途地域や工業系用途地域への変更は、日照阻害や建て詰まり、圧迫感等により住民の住環境を悪化させ、地上げ・底地買いを誘発し、住民の流出につながるおそれすらある。
3  都市計画的必要性の欠如
もともと、今回の計画地域は、歴史的中心市街地(内部地域は高さ制限15m)と比較して、緩やかな地域である。新景観政策では容積率は引き下げられていないし、現行の高さ・容積率が十分に利用されているとも言えない(高さ・容積率を緩和する都市計画的必要性がない)。
仮に、一部地域の開発・建築計画に適用するとすれば【地区計画】【特例許可制度】に基づくことができる。但し、一人地区計画や公共性の認められない特例許可などの恣意的・濫用的な利用は不適切である(京都弁護士会2012年(平成24年)7月19日付意見書及び2020年(令和2年)11月26日付意見書)。
4  市境の規制緩和の問題点
今回初めて出てきた規制緩和案では、向日市や宇治市との市境付近で、高さ規制を無指定にする等の極端な規制緩和が、隣接市との一体的・連続的なまちの形成を理由に計画されている。
これは、タワーマンションや超高層ビルの建設を容認するものである。しかしながら、タワーマンションは、景観への悪影響、子育て世代の住環境、不動産価格、持続可能性(膨大な大規模修繕費用が将来必要)等、京都市においては、不適切である。
経済的・場所的にも、タワーマンションが計画的に建設される(例:横浜市みなとみらい地区)ことは期待できず、無秩序な乱杭状景観・町並みになるおそれが強い。
現にタワーマンション建設を規制している地域もある。神戸市は、市の中心部のタワーマンション建設抑制を狙った土地利用規制条例を2020年(令和2年)7月1日に施行している。神戸市の人口も、2011年(平成23年)をピークに減少を続けており、西日本で最大幅の人口減少となっている。その対策の一環として、三宮の駅前地区や旧居留地地区を高度集積地区として人口増を目指すものである。
商業地区における上記神戸市の施策がそのまま京都に当てはまるものではないが、京都の隣接市との関係でいえば、現在では緩やかな景観規制を強化して、良好な景観と住環境をもった町並みの形成を図ることが、むしろ、人口減少を防ぎ、持続可能な地域形成に資するものである。神戸市の商業地区においてすら、タワーマンション建設が人口流入に資するものではないとの判断がなされているのであるから、京都においてはなお一層、人口流入施策としては妥当性を欠くものと言わざるを得ない。

第6  小括
以上のとおり、本見直し案には、①人口減少対策として建築規制を緩和する手法は、効果がないこと、②エココンパクトな都市構造と矛盾すること、③結局規制緩和そのものが目的ではないかとの誤解を生じさせること、④都市の独自性をなくしては他都市との競争に勝てないことの点で問題があり、本見直し案を実行すべきではない。本見直し案は、撤回すべきである。

第7  本都市計画の見直し案の手続的問題点
1  2007年(平成19年)に施行された新景観政策の策定過程では、関係各分野の委員からなる審議会(2005年7月設置)方式で長期間の検討がなされ、審議過程において3回のシンポジウム(2006年2月)や中間とりまとめ(同年3月)での意見募集も行われたうえ、2006年(平成18年)11月の最終答申、パブコメに至り、市議会での審議・議決手続も行われており、京都新聞の世論調査においても約80%の賛同が得られていた。
しかし、今回の有識者委員会は、市長が選任した6名の有識者委員により、非公開で行われており、関係地域住民を含むほとんどの市民が、答申がなされたことを京都新聞等の新聞記事で初めて知ったという経過である。
しかも、景観審査会や美観風致審議会、建築審査会などの公的審査会・審議会に対して意見聴取がなされた形跡もない。
これに対し、京都市は、【2021年9月の「都市計画マスタープラン(改定)」は、パブコメを経て制定されたものであり、今回の5地域の都市計画見直しはこれを具体化するものである】という立場を取っている。
しかしながら、上記の都市計画マスタープランについては、今回の都市計画変更案の中で見直しの対象となっている5地域の住民に対して、地域内での意見聴取が行われた形跡もなく、このような全市的・抽象的なマスタープランに対するパブコメでは、地域住民は十分な意見を言いようがない。住民参加は、参加できる実態が伴って、初めて住民参加といえるのである。
上記都市計画マスタープランについて、当会は、2022年(令和4年)8月25日付意見書において、主として手続面について、次のとおり問題点を指摘し、改革の方向性を指摘している。
「1  都市計画マスタープラン策定のあり方について
京都市は、都市計画マスタープランの策定・見直しに当たっては、各行政区毎のマスタープランの集積の上になすべきであり、さらに、各行政区毎のマスタープランは、一定のまとまりのある各地域毎のまちづくりプラン(京都市のいう「地域まちづくり構想」)の集積のもとに、策定されるべきである。
2  マスタープランの作成手続を【ボトムアップ型】に転換すべきことについて
マスタープラン(都市計画マスタープラン、行政区毎のマスタープラン及び地域毎のまちづくりプランを含む)の策定・見直しにあたっては、住民・市民が主体的に関与する【ボトムアップ型】によりなされるべきである。
すなわち、素案の策定・見直しの前段階においては、①住民・市民に対するアンケート調査の実施、②ワークショップの開催、③地域毎の懇談会の開催、④子どもへの意見聴取、⑤まちづくりに取り組む団体をはじめ地域活動を担う各団体へのヒアリング等を開催するべきである。
そして、素案の策定にあたっては、⑥これを広く住民・市民に提示するに際して複数の素案を示した上で意見の公募(パブリックコメント)を行うことが必要である。その後、⑦⑥をふまえた複数回の公聴会の開催、⑧市役所や区役所での素案の縦覧、職員との質疑応答、意見表明(メールを含む)の保障等の住民・市民参加をきめ細かく積み重ねていくというプロセスを経るべきである。」
2  本件都市計画の変更手続についても、上記の手続を踏まなければならない。
有識者委員会も、「少子高齢化、若年・子育て層の市外転出による人口減少や厳しい財政状況を見通し、「都市経営」の視点を持ち、経済と都市活性化に資する新たな力や空間の創造、歴史都市・京都が豊富に抱える知恵や既存ストックを最大限にいかしたクリエイティブなまちづくり、文化を基軸とした政策融合による経済的価値の創出、そして自治の伝統をいかした市民・事業者・行政をはじめとする多様な主体でのまちづくりの推進などが重要である。」「まちに関わる様々な主体の持つ夢や幸せをいかに高めていけるか、といった視点がこれまで以上に求められており、真のワーク・ライフ・バランスの実現やこれからの暮らし方にも対応した都市を目指す必要がある。」(答申8頁)と指摘しており、まちづくりの主体である市民の意見が十分に反映される手続を踏むことを求めている。

第8  結論
上記のとおり、今回の都市計画見直し案は内容的にも手続的にも認められるものではなく、反対であり、撤回のうえ、改めて、意見の趣旨記載のとおりの丁寧かつ民主的な手続をとることを求める。
以 上


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