日本国憲法公布の日にあたり 「平和のうちに生存する権利」の価値を改めて確認する会長談話


日本国憲法公布の日にあたり 「平和のうちに生存する権利」の価値を改めて確認する会長談話


  いまから77年前の1946年(昭和21年)11月3日、日本国憲法が公布されました。憲法の前文にはこう書かれています。
  「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」
  憲法は、おびただしい命や財産、そして心さえも犠牲にした先の戦争の惨禍を振り返り、「全世界の国民」が、「恐怖と欠乏」から逃れ、「平和のうちに生存する権利を有する」と宣言しています。
  戦争は最大の人権侵害です。世界では、2022年2月から始まったロシアとウクライナの戦争がいまも続き、そして今年10月7日からはパレスチナ・ガザ地区周辺で激しい戦闘が始まっています。その他にも常に世界中には多くの武力紛争が絶えません。そこでは軍人だけでなく、双方の多数の民間人が巻き添えになり、難民となり、「恐怖と欠乏」を強いられています。
  このような状況にある現在、「平和のうちに生存する権利」を、「全世界の人々が等しく享有する普遍的な人権」として確認し、為政者の行為を憲法規範のもとに厳しく規制しようとした憲法を有する国の法律家として、私は思います。
  日本国政府は、国際社会において、憲法がその存在を世界に示した「平和のうちに生存する権利」の価値を強く訴え、国際政治力学や国家安全保障の枠組みを超越して、全ての紛争地域の為政者が、武力を伴わない紛争解決の道に進むよう、積極的な行動をするべきです。そして私たち自身も、「平和のうちに生存する権利」が世界中の人々に真に享有されるよう、ひとりひとりができる行動を続けていかねばなりません。


    2023年(令和5年)11月3日

京都弁護士会                

会長  吉  田  誠  司


  
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