「改正」入管難民認定法の全面施行の停止を求める会長声明(2024年5月22日)


「改正」入管難民認定法の全面施行の停止を求める会長声明


1 2024年(令和6年)6月10日、昨年6月に「改正」された出入国管理及び難民認定法(令和5年法律第56号。以下「本法」という。)が全面施行される見込みである。

2 本法は、当会が昨年7月20日付けの「入管難民認定法の改悪に強く抗議し、人権保障を基軸とした入管難民認定法制の構築を求める会長声明」で指摘したとおり、立法事実が欠如するにもかかわらず十分な審議を尽くすことなく可決されたものである。本法はまた、当会が昨年5月22日付けの「出入国管理及び難民認定法の改悪に反対する会長声明」で指摘したとおり、送還忌避罪や、3回目以降の難民認定申請者等について原則として送還停止効を解除して送還を可能とする制度を創設するものであり、本法が全面施行されれば、難民を迫害の危険のある国に送還してはならないというノン・ルフールマン原則(難民条約33条1項、拷問等禁止条約3条1項)に反するおそれがある。本法が創設する監理措置制度は、私的領域に監視・被監視の関係を持ち込むものであり、ここでも新たな人権問題の発生が懸念される。

3 これらの事態は、憲法や自由権規約、社会権規約、子どもの権利条約、難民条約、拷問等禁止条約などに違反するおそれがあるから、政府には、これら憲法違反や国際人権条約違反の事態を防止する責任がある。また国会には、憲法違反や国際人権条約違反の事態が生じないような法整備を行う責任がある(憲法98条1項、2項、99条)。
ところが国会は、現在に至るまでこうした法整備を行う責任を果たしていない。そして、内閣及び法務省は、これら憲法違反や国際人権条約違反の事態を防止するための仕組みが整っていないにもかかわらず、本法の全面施行に踏み切ろうとしている。

4 そこで当会は、国会に対して、憲法違反や国際人権条約違反の事態を防止するため、本法の全面施行を停止するために必要な立法措置を直ちに行うとともに、廃止を含めた本法の抜本的な再検討を行うことを求める。
2024年(令和6年)5月22日

京都弁護士会
会長 岡 田 一 毅


ダウンロードはこちらから→[ダウンロード](.pdf 形式)

関連情報