「速やかに臨時国会の召集を求める会長声明」(2015年11月12日)


  2015年(平成27年)10月21日、野党5党と無所属の衆議院議員125人、参議院議員84人が、政府に対し、臨時国会の召集を要求した。それにもかかわらず、政府・与党は、首相の外交日程や年末の予算編成を理由に臨時国会を召集せず、例年1月後半に召集される通常国会を2016年(平成28年)1月4日に召集するとするにとどめている。
  しかし、憲法第53条後段は、臨時国会の召集に関し、「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定めており、政府・与党の対応は憲法の明文に反する。政府・与党は、来年1月招集の通常国会の開催をもって、憲法第53条後段の要請を充たすとしているようにみえるが、同条は、「召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うこと」を要請しているのであり(2003年(平成15年)の内閣法制局長官の答弁)、“2か月以上先”の“通常国会”の召集がその要請を充たすとは考えられない。まして、国会閉会中における衆参予算委員会での審査が憲法の要請を充たすことはあり得ない。
  こうした政府・与党の態度は、有識者及び世論の多数が違憲と判断した安全保障関連法を強行採決した憲法無視の姿勢と全く同根である上に、憲法の明文を堂々と無視している点で、立憲主義に対する一層深刻な危機をもたらす。加えて、これは、安全保障関連法に関して、法案成立後においても、国民の理解が得られるよう丁寧に説明すると表明した政府自身の態度とも矛盾するものである。
  当会は、政府・与党に対し、上記のとおり、憲法違反の状況を直ちに解消して、速やかに臨時国会を召集するとともに、立憲主義に基づく政治を回復することを強く要請する。


      2015年(平成27年)11月12日

京  都  弁  護  士  会

会長  白  浜  徹  朗

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