「司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明」(2016年1月20日)


  司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)については、この間、日本弁護士連合会・各弁護士会に対して、多くの国会議員から賛同のメッセージが寄せられているが、先日、同賛同メッセージの総数が、衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。
  メッセージを寄せられた国会議員は、与野党を問わず広がりを見せている。
  これは、司法修習生への経済的支援の必要性についての理解の広まりによるものと考えられ、2015年(平成27年)5月28日に司法修習生への貸与制の見直しを含めた法曹養成制度の改善を求める総会決議を行った当会としても歓迎するところである。
  そもそも、終戦直後から司法修習生に対し、修習期間中には給費が支払われてきたところ、2011年(平成23年)11月から、貸与する制度(貸与制)に変更された。近年、この修習資金の負債に加え、大学や法科大学院での奨学金の債務を負っている修習生も多くなっている。法曹志望者は年々減少しているが、法曹になるまでの重い経済的負担も減少の一因である。法科大学院も定員割れを起こし、学生の募集停止に至っている法科大学院も増えている。
  こうした事態を重く受け止め、法曹に広く有為の人材を募り、法曹志望者が経済的理由によって法曹への道を断念する事態が生ずることのないよう、また、司法修習生が安心して修習に専念できる環境を整えるため、少なくとも、司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)が早急に実施されるべきである。
  2015年(平成27年)6月30日に、政府の法曹養成制度改革推進会議は、貸与制を前提とした政府の姿勢を変更すべきと指摘したと評価できる決定を行った。司法修習生に対する経済的支援の実現について、直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべき時期に至っているのである。
  当会は、司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)について、給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の早急な改正を求めるものである。

      2016年(平成28年)1月20日

京  都  弁  護  士  会

会長  白  浜  徹  朗
    

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