スクイズ


こち弁ブログをご覧の皆様、こんにちは、はじめまして。
京都弁護士会所属弁護士の須田起一郎です。前回の辻井弁護士に引き続き、今回も新人弁護士が担当させていただきます。

さて、私の好きなものといえば、何と言ってもはずせないのが、野球です。
広島生まれなので、物心ついたときから広島カープの大ファン。幼稚園生のころからでしょうか、当然、「C」のマークのついた赤い帽子をかぶり、赤いプラスチック製のバットを持って、父が投げてくれたゴムボールを打とうと毎日必死になっていました。山本浩二選手のサインバットが宝物で、いつも巨人や中日と優勝争いをしていた頃の強いカープが自慢でした。近年、「カープ女子」など広島カープ人気が急上昇しているのは喜ばしいことで、あとは、優勝を!!と思いながら、毎年注目しています。このオフに絶対的エースの前田健太投手が大リーグに挑戦しチームを離れたため、来シーズンは苦戦が予想されますが、新人を含め、その分、みんなが奮起してなんとか優勝してもらいたいと思いますし、私もぜひともマツダスタジアムへ応援に行きたい、と考えています。

私は、高校時代、甲子園を目指し、毎日、文字通り汗まみれになってボールを追いかけていました。高校3年生の最後の夏の大会、チームはベスト8まで進みましたが、準々決勝でコールド負けを喫し力尽きました。この大会、私は主に三塁コーチを担当しましたが、1打席だけ出場機会を与えてもらいました。初戦を舞鶴球場で1-0という僅差で勝ち、西京極球場(現わかさスタジアム京都)に戻って来ての2試合目の終盤、3-3の同点、という場面。1アウトから6番バッターが3塁打を放ち、三塁ベース付近でお互いに手を取って喜んでいると、監督以下チームメイトがこっちを見て手招きしていました。「あれ?代走?」と思いましたが、どうやら、バッティングの弱い私に代打へ行けということらしく、とりあえず半信半疑で急いでベンチへ戻りました。ベンチを出る際、監督から「初球行くぞ」と言われ、初めて、「スクイズ(バントをして3塁走者をホームへ生還させる作戦)」という指示だということが分かりました。当時は細くて非力だった私がここぞというチャンスでバッターボックスへ送りだされたわけですから、スタンドの応援団や観客もすぐに気づいたのでしょう。チャンスを迎えたことへの歓声とともに、「スクイズやー!」「しっかり決めろー!!」などの声が方々から聞こえ、鳥肌が立ちました。試合の勝ち負けがかかった打席へ入るあの瞬間に感じた何ともいえない緊張感は、今も忘れることができません。結果は、初球、バッテリーが外したボールが暴投となり、三塁走者が生還。これが決勝点となりました(私自身はそのあと、空振り三振に終わりましたが・・・・・)。結局、実際にバントをすることはなかったのですが、ただ、私としては、学校の昼休みの時間に(制服を着たままヘルメットだけかぶるという何とも不恰好な姿ではありましたが)、毎日欠かさず繰り返し繰り返しバント練習したことが、あの瞬間につながったのではないか、と考えています。
人生で一度しか味わえない瞬間は、これからも多々あると思います。結果はどうであれ、その瞬間を自分自身納得のいく方向へ導くためには、日ごろから「いま」やるべきことを全力で、黙々とやりぬくことが大切だなと、あの夏の場面を思い出すたびに感じます。
  
私は、現在、京都弁護士会でも野球部へ参加させていただいています。毎年秋ごろには、各弁護士会のチームが参加する全国大会が開催されています。大阪や東京、横浜など、高校野球さながらに強豪チームが存在しますが、京都弁護士会野球部は、全国大会への出場、そして、全国優勝を目指し、若手弁護士から大先輩の弁護士まで同じボールを追いかけ、毎週練習に励んでいます。2017年度は京都にて全国大会が開催される予定ですので、ぜひとも応援のほう、宜しくお願いします。
私も、またあの夏の打席のあの興奮を味わえるよう、日ごろから、汗を流し続けていきたいと思います。

須田  起一郎(2016年3月22日記)


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