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京都に帰った日


京都に帰った日

  私が初めて京都に来たのは、ちょうど1年前のゴールデンウィークの時だった。
  
  私こと、松本尚晃は当時まだ司法修習生の身分だった。「寺社仏閣好き」を自称していながら、生来の貧乏性のために、私はそれまで書物を漁るぐらいしかしたことがなかった。しかしながら、修習が終わった暁には、どの程度時間が取れるかも分からない。その半ば焦りにも似た思いが、私に重い腰を上げさせた。
  
  最初に訪れたのは清水寺だった。仁王門の荘厳さ、本堂のきらびやかさ、晴天が映えた音羽の滝の美しさ、そのすべてに圧倒された記憶がある。清水寺なんか王道じゃないか、と人は言う。だが、王道には王道になるだけの理由があるのだ。
  私は、清水寺を起点にして、ひたすら歩き続けた。三年坂、二年坂で京都の風情を感じながら、ねねの道を通って高台寺、そのまま円山公園に入り、すっかり花を落とした枝垂桜を横に見ながら八坂神社、また丸山公園を抜けて知恩院、神宮道を歩き、巨大な鳥居に圧倒されつつ平安神宮。その日一日だけで、京都が世界的に人気となっている理由が分かった気がした。
  
  こんな日程を、五日間も繰り返した。
  北は貴船神社から南は石清水八幡宮まで、名のある寺社仏閣は足の動く限り訪れた。訪れるたび、全く表情の異なる人工美と自然の調和に一々感動を覚えたものだ。
  ただ、スケジュール的にはかなり無理がある旅だった。普段運動もしないのに、ろくな装備もせず山を上り下りしたために、くるぶしが悲鳴を上げた。水分補給を怠ったまま直射日光に長時間さらされたために熱中症になりかけた。それでもこの旅を強行したのは、もう二度とゆっくりと京都観光をすることはできないかもしれない、と思っていたからだ。ところが何の因果か、私は今、京都にいる。
「運命」や「縁」といった表現も可能だろうが、そのような言葉で理由をつけることは避けたい。ただ、この旅で得た感動が、無意識のうちに私をこの地へ導いてくれたことは間違いないと思っている。
そして今、沿道を彩る花が桜からツツジへ変わり、季節はまた廻ろうとしている。
  
  さて、今年のゴールデンウィークは、どこへ行こうか。

松本  尚晃(2016年5月30日記)

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