声明

「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律」の成立に関する会長声明(2016年5月25日)


  2016年(平成28年)5月25日、第190回国会において、特定商取引に関する法律(以下「本法」という。)が可決され、成立した。

  本法では、①指定権利制の見直し、②電話勧誘販売への過量販売解除権の導入、③業務停止命令を受けた事業者の役員等が新たに法人を設立して同種の事業を行うことの禁止、④通信販売におけるファックス広告規制(オプトイン規制)等が内容とされており、この点は消費者保護の見地から評価できる。

  今後、内閣府消費者委員会が本年1月7日に行った答申に基づき、以下の点を内容とする政省令改正を確実に行うことを求める。
(1)事業者が消費者に支払のために金融機関等に対して虚偽の申告を行うように唆す行為、消
    費者の求めがない場合等に消費者を金融機関等に連れて行く行為、事業者が消費者に対し、
    積極的に金銭借入・預金引き出しを勧める行為を指示対象とすること
(2)アポイントメント・セールス規制の範囲を当初からの不意打ち性が連続している状態での
    勧誘にも適用されることを明確にすると共に、来訪要請手段としてSNS・電子広告を用い
    た場合にも同規制が及ぶようにすること
(3)美容医療契約を特定継続的役務提供と位置付けること
(4)立入検査の対象となる「密接関連者」の範囲を広げること

  また、本法の附帯決議で適切な措置を講ずるよう要請されている内容及び国会における審議の内容をふまえ、規制の隙間が生じたことによる消費者被害が発生した場合には「商品」、「役務」、「権利」の概念自体を見直すこと、高齢者等の被害防止のため海外の制度を参考に訪問販売及び電話勧誘販売における事前拒否者への勧誘禁止制度の導入すること、通信販売における虚偽・誇大広告に関する取消権を付与すること、悪質事業者に対する法執行強化と消費者利益の保護をはかるため国と都道府県が執行強化に向けた連携を行うこと及び違法収益の剥奪に向けた制度的検討を行うべきである。特に、高齢者の消費者被害の予防は喫緊の課題であり、今回の改正によっても被害が減少しない場合には、改正法成立後5年を待たず更なる法改正をすべき必要性が高い。また、金融商品取引や商品先物取引などの各種投資取引では、事業者による適合性原則の遵守が期待できないという観点から不招請勧誘規制が導入されているが、本法の対象となる事業者は金融商品取引業者などと異なり許可制や登録制による参入規制がなされておらず適合性原則の遵守が十分に期待できないことからも、今回の改正による行政処分の強化や事業者による自主規制の強化などによっても被害が減少しない場合には、速やかに勧誘規制の強化に向けた法改正を検討すべきである。その際、消費者保護の見地から、個々の委員に拒否権を与えるような委員会(専門調査会等を含む)運営は許さず、PIO-NET情報に信頼性があることを前提に立証事実を検証するなど消費者庁及び消費者委員会が強いリーダーシップを発揮して、実効性ある法制度の確立に向けた検討がなされるべきである。

      2016年(平成28年)5月25日

京  都  弁  護  士  会

会長  浜  垣  真  也


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