登録後半年を過ぎて


  今年の1月1日に弁護士登録してから、半年余が過ぎました。振り返るにはまだ早いのかもしれませんが、登録以来、日々の変化が実感され、思うところも多々あるので、この機会に少しだけこの半年間を振り返ってみたいと思います。

  弁護士登録して感じたこと、1点目。移動が多い。
民事訴訟の代理は、弁護士の業務の中で特に重要なものです。京都地裁以外にも、各地の裁判所に出向くことが多く、彦根、福知山、堺など、片道数十キロという移動が1ヶ月に何度もあります。刑事弁護では警察署に何度も通い、委員会活動では学校にお邪魔し、弁護士会野球部の活動では遠征(関東含む)をします。
ただ、このように新しい土地に足を運ぶことで、少しずつ自分の世界が広がっていると思うと、それが1つの楽しみでもあります。

  感じたこと、2点目。人との出会いが多い。
弁護士は思っていた以上にいろいろな所に顔を出します。欠陥住宅救済の全国大会、高校生模擬裁判の支援、
起業家も参加する異業種交流会、真夏のゴルフ・・・
多くの組織に所属している分、多くの人とつながります。人とのつながりはもちろん仕事の依頼を受けることにもつながりますが、日々新しい刺激を受けるので自然と毎日が充実していきます。

  3点目、最も感じること。人の話を根気よく聞かなければならない。当たり前のことですが、依頼者の話を聞くことから、我々の活動の全てが始まります。
たとえば、被疑者弁護の活動において、被害弁償をする場合。被害弁償のためには、まず弁償のためのお金が必要で、被疑者がお金を持っていない場合、親族の方に融通をお願いすることがあります。ただ、断られることもしばしばあります。大のおとなが自分でしたことなのだから、自分で責任を取れ、刑務所に入れと言われます。
  お金を融通してもらえたとして、次に被害者の方に弁償金を受け取ってもらわなければなりません。ただ、被害者の方もなかなか受け取ってもらえません。被害回復が行われれば、多くの場合刑罰は軽くなります。
弁償金を受け取ることで刑が軽くなるくらいなら、お金はいらない、重罰を望みますと言われることはよくあります。そんなとき、弁護人は親族の方、被害者の方を説得します。説得するにしても、いきなりこちらの事情を伝えるようなことはせず、まず相手の方の話を聞かせてもらいます。
人間関係がこじれている、犯罪で辛い思いをたくさんしたなど、自分に受け止め切れるのか不安になる重い話もあります。
  それでも、話を全て聞かせてもらい、被疑者本人の話を聞いていただけそうであれば、少しだけお伝えします。
どうして今回犯罪をするに至ってしまったのか、被害者の方に対して今どのような気持ちでいるのか、出所したとして今後どのように生きるつもりなのか、それまで接見に行って、長い時間をかけ、被疑者と顔を突き合わせて話し合った結果を、相手の方にお伝えします。

  弁護士の仕事の中で、相手の方を説得するという活動はかなりの比重を占めます。説得は、依頼者本人の話を聞くこと、相手方の話を聞くことから始まります。話を聞くのは、かなりの時間がかかりますし、相当労力がいります。しかし、この過程を省いては、良い活動はできないと思います。
自分にできることが何なのかを考えながら、毎日があっという間に過ぎて行っています。

幡地  央次(平成28年8月22日記)

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