声明

「最低賃金のさらなる引き上げを求める会長声明」(2016年9月13日)


1  2016年8月8日、京都地方最低賃金審議会は、地域別最低賃金が1時間あたり807円であったところ、24円引き上げて831円にすることが適当であるとの答申を行った。
    この答申に先立ち、2016年7月28日、中央最低賃金審議会は、厚生労働大臣に対し、平成28年度地域別最低賃金額改定の目安についての答申を行っている。京都府の目安は、Bランク24円であった。すなわち、京都地方最低賃金審議会の答申は、中央最低賃金審議会が答申した目安を反映したものといえる。

2  我が国の最低賃金制度は、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、労働者の生活の安定等に資することを目的としている(最低賃金法第1条)。
    ここで、1か月当たりの労働時間として、厚生労働省の毎月勤労統計調査の結果(平成28年4月分結果速報)である175.0時間(調査産業計の一般労働者の総実労働時間)を用い、京都地方最低賃金審議会の答申による金額である1時間当たり831円をもとに試算すると、1か月の賃金額は14万5425円となる。この賃金額は、従前よりも4200円増えることになるが、依然、労働者が十分生活していけるだけの水準が確保されるとは言い難い。最低賃金でフルタイムを働いた場合に、十分生活していけるだけの水準が確保されなければならない。

3  政府は、2010年6月18日に閣議決定された『新成長戦略』において、2020年までの目標として、「全国最低800円、全国平均1000円」 にまで最低賃金を引き上げることを明記し、2016年6月2日に閣議決定された『日本再興戦略2016』の工程表においても、全国加重平均が1000円となることを目指すとしている。
    今回の答申により、京都府の平成28年度地域別最低賃金は831円となるが、残り3年間で全国平均の目標値に達するには、1年当たり56.34円の引き上げが必要である。また、もとより京都府の最低賃金は全国平均を上回っているのであるから、京都府においては、上記の引き上げ幅を上回る最低賃金の引上げが必要というべきである。
    最低賃金の引き上げの効果には、米連邦労働省作成のホームページにおいても指摘されているように、労働者の離職率を下げ、新規採用・訓練のコストを削減し、生産性の向上に繋がること、また、賃金が消費に回り地域的及び全国的に経済成長を刺激することなどが挙げられ、このようなメリットがあることからも、最低賃金を引き上げるべきことは正当化される。

4  当会は、基本的人権の保障と社会正義の実現という弁護士法の理念を踏まえ、「ワーキングプア解消のための公契約法及び公契約条令の制定を求める会長声明」(2014年12月25日付)を発表するなどして、労働者に適正な賃金を保障するとともに地域経済の活性化を図る提言を行ってきた。
そうした経緯を踏まえ、当会は、京都地方最低賃金審議会に対し、次年度以降もさらなる京都府地域別最低賃金の大幅な引き上げを図り、地域経済の健全な発展を促すとともに、労働者の健康で文化的な生活を確保されるよう求める。
    また、政府、京都府、京都市においては、中小企業の賃金引き上げを誘導するための補助金制度等の構築・充実が検討されるべきである。

2016年(平成28年)9月13日

京  都  弁  護  士  会

会長  浜  垣  真  也
    


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