秋の夜長にこの一冊


  はじめまして。株式会社堀場製作所の稲垣太仁と申します。
何を書いてもよいと言われたものの、全くの制限なしとはこれまたつらいものです。今回は、過去の方々が多く書かれていた趣味について書こうと思います。あらかじめ書きますが一部ネタバレがございます。ご注意ください。

  私は、自他ともに認めるTHE三日坊主であり、趣味といっても続いているものがほとんどありません。バスケットボール、麻雀、読書、食べ歩き、乗馬etcと、いろいろな趣味畑を歩んできました。このような流浪の私が唯一、小学校の時から好きなものがあります。それが漫画です。と、言っても今はやりのものではありません。昭和の巨匠、水木しげる氏の書く漫画です。彼の漫画は妖怪ものから戦争もの、歴史ものまで様々ですが、どれも実際に体験したかのような描写が多く(戦争については、実際にラバウルに出征しており臨場感満載です。)、まるで自分が見ているかのような、体験しているかのような気分にさせてもらえます。
  水木しげる氏には代表作と呼ばれる作品が3つあります。皆さんご承知の「ゲゲゲの鬼太郎」、エロイムエッサイムから始まる「悪魔くん」、そして、うーん特にキャッチフレーズが思い浮かびません「河童の三平」です。
キャッチフレーズは思いつきませんが、私はこの中でも「河童の三平」をイチオシにしております。
  おおよそのストーリーを申しますと、人間の三平と三平そっくりの河童、死神や小人の織り成す日常系漫画となっております。ざっくりしすぎて何がなんだかさっぱりわかりませんね。でも本当にそんな感じなんです。ほのぼの系かと思いきや実は主人公の三平が死んでしまいます。ネタバレ失礼しましたが、本当に一瞬です。主人公が死ぬとなると、普通の漫画ではものすごく強い敵と戦って激闘の末に惜しくも敗れたといったそんな場面を想像する方も多いと思いますが、「河童の三平」は違います。前のページではピンピンしていたのに次のページをめくると頭の上にもう天使の輪っかがついています。小学校の時にこれほどの衝撃を受けたことはありませんでした。えっ、人間ってこんなに簡単に死ぬの?と子供ながらに思ったものです。この漫画のおかげで少しドライな性格になってしまったかもしれません。そのほかにもたくさん書きたいことはありますが、これ以上書いてしまうと皆さんが本を手に取ってくれることがなくなってしまうように思いますので、得意技「焦らし」を使用し、このあたりにしておきます。

  まだまだ暑い日が続きますが、この記事が載る頃には少しは秋らしくなっているでしょうか。秋の夜長の一冊に「河童の三平」お勧めします。

稲垣太仁(平成28年10月3日記)



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