「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)に対し改めて反対し、廃止を求める会長声明(2017年1月26日)


  「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(以下「カジノ解禁推進法」という。)が、2016年(平成28年)12月15日に成立した。
  当会は、2016年(平成28年)12月14日、カジノ解禁推進法案に対して改めて反対し、廃案を求める会長声明を発表した。同声明でも指摘したとおり、カジノ解禁推進法には、多重債務問題の再燃、ギャンブル依存症の拡大、青少年の健全育成への悪影響、暴力団やマネー・ローンダリング対策上の問題等看過できない問題点が多数含まれている一方で、衆議院内閣委員会での審議時間がわずか2日間、計6時間にすぎないなどこれらの問題点に対して十分な議論がなされたとはいえない。参議院内閣委員会でも、民間賭博を認めることの問題点が改めて議論されたにもかかわらず、修正案についても修正動議の後わずか数十分の審議で可決されるなど十分な審議が行われたとは言い難い。
  また、刑法を所管する法務省は、公営競技等に係る特別法の立法に当たっては、目的の公益性(収益の使途を公益性のあるものに限ることも含む。)、運営主体等の性格(官又はそれに準じる団体に限るなど)、収益の扱い(業務委託を受けた民間団体が不当に利潤を得ないようにするなど)、射倖性の程度、運営主体の廉潔性(前科者の排除等)、運営主体への公的監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害(青少年への不当な影響等)の防止等の観点から検討してきており、カジノの規制のあり方についても同様であるとしている。この従来の法務省の見解からは、民間の運営主体によって営利目的に行われる民間賭博が許容される余地はない。
  カジノによる民間賭博を解禁することは、従来の刑事司法政策に重大な変更をもたらすものであり、その変更には十分な議論が要請されるところ、今回のカジノ解禁推進法を成立に至るまでの審議は不十分なものであったと言わざるをえない。
  また、委員会採決に当たっては、附帯決議において、弊害に対応した対策をとることを明らかにしたものの、その内容は抽象的な表現にとどまっており、いまだいかなる対策が講じられるかについての具体的な提案もされておらず、カジノ解禁に関する様々な懸念は払拭されていない。
よって、当会は、カジノ解禁推進法の成立に強く抗議し、その廃止を求める。

      2017年(平成29年)1月26日

京  都  弁  護  士  会

会長  浜  垣  真  也




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