「2017年度(平成29年度)司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明」(2017年6月22日)


  平成29年度の法科大学院志願者数は8,159人(前年度比119人減)、入学者数は1,704人(同153人減)に、司法試験出願者数は6,716人(同1,014人減)に、受験者数は5,967人(同932人減)にまで、それぞれ落ち込みました。ピーク時には、法科大学院志願者数が72,800人(平成16年度)、司法試験出願者数が11,891人(平成23年度)もいたことを考えますと、法曹志願者はまさに急減している状況です。平成29年度より、司法修習生に給付金が支給されることになりましたが、志願者、受験者の減少傾向に変化はありません。

  司法は国民の権利義務や社会正義に深く関わるものであり、その司法を担う法曹の質の維持・向上は、国民にとっても重大な課題・要請です。現状のように法曹志願者の母数が急減すれば、その中の有為な人材の絶対数が減少するのも当然であり、法曹の質の確保に懸念が生じます。しかし、そのような中でも、法曹の質は可能な限り高く確保されなければなりません。

  2015年(平成27年)6月30日、法曹養成制度改革推進会議は、「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ)」において、司法試験の合格者数を年間1,500人程度は輩出すべきとする方針を決定しました。しかし、司法試験出願者が急減している現状の下で、単に方針どおりの合格者数を確保するためにのみ合格ラインが下げられてしまうと、司法試験制度に期待される選抜機能が大きく損なわれ、合格者の質を制度的に担保できない事態も想定されます。したがって、今後の司法試験の合格判定は、目標とされた合格者数ありきでなされてはならず、司法を担う法曹の質の維持・向上という必須の要請をふまえ、厳正に行われなければなりません。

  以上から、当会は、平成29年度司法試験の合格判定にあたって、1,500人程度とされる合格者数の確保のみが優先されるべきではなく、司法を担う法曹の質の維持・向上の要請をふまえた厳正な判定が行われることを求めます。

  2017年(平成29年)6月22日

京  都  弁  護  士  会

会長  木  内  哲  郎




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