「速やかな臨時国会の召集を強く求める会長声明」(2017年7月19日)


  2017年(平成29年)6月22日、野党4党などは衆議院議員120人、参議院議員72人の賛同議員の名簿を添えた臨時国会の召集を求める要求書を衆参両院に提出した。これに対して、報道によれば、政府は臨時国会の召集に応じない方針であり、現段階でも臨時国会を召集していない。
  しかし、憲法第53条後段は、臨時国会の召集に関し、「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と定めており、政府の対応は憲法の明文に反する。これに関して、菅義偉官房長官は、記者会見で「政府は召集義務を負うが、憲法上期日の規定はない。」と述べたが、同条は、「召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に召集を行うこと」を要請しているのであり(2003年(平成15年)の内閣法制局長官の答弁)、合理的期間内を越えて国会が招集されないことを正当化するものではあり得ない。
  政府が、合理的な期間内に臨時国会の召集要求に応じなかったのは、安全保障関連法が強行採決された後の2015年(平成27年)10月21日の招集要求(野党5党と無所属の衆議院議員125人、参議院議員84人によるもの)に引き続いて2度目であるが、今回は、次の国会召集までかなりの時間が予想されることからしても、その違憲性は深刻である。
  当会は、2015年(平成27年)11月12日の会長声明においても、政府の憲法第53条違反を指摘し,立憲主義に対する深刻な危機を指摘したが,今回、政府がさらに違憲と評価される対応を重ねていることに対し、危機がより一層深刻化していることを指摘せざるを得ない。
  したがって、当会は、政府に対し、憲法違反の状況を直ちに解消すべく、速やかに臨時国会を召集するよう強く求める。

2017年(平成29年)7月19日

京  都  弁  護  士  会

会長  木  内  哲  郎

    

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