「パワーシフトによる再生可能エネルギー導入拡大を加速する会長談話」(2017年12月20日)


  「持続可能な社会の実現」は当会の五箇条の一つである。地球という有限の器に生きる私達は、社会が排出する環境負荷を地球の再生能力の範囲内に抑えなければならない。当会は、持続可能な社会の実現を推進する具体的な行動として、パワーシフト(電力の購入先の変更)を検討し、末尾記載の電力会社選択基準を策定した。そして、当該基準に照らして電力の購入先を新電力会社に変更した。

  2017年11月18日、国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)は、パリ協定において盛り込まれた仕組みの一部を2018年から先行して試行することを盛り込んだ決議を採択し、閉幕した。パリ協定は、1997年に採択された京都議定書以来18年ぶりとなる気候変動に関する国際的枠組みであり、今世紀中の気温上昇を産業革命前から2℃度未満に抑える目標を掲げている。2006年7月31日、当会は京都弁護士会環境宣言を採択し、同年12月1日にKES(環境マネジメントシステム・スタンダード)ステップ1に登録した。2016年11月25日、近畿弁護士会連合会は、京都で開催された第29回近畿弁護士会連合会人権擁護大会において、「再生可能エネルギーによる脱原発・持続可能なエネルギー政策を目指す決議」を行い、原子力と石炭火力をベースロード電源とするエネルギー政策を見直し、再生可能エネルギーの導入拡大を加速させ、持続可能なエネルギー政策への転換を求めるための提言を行った。冒頭に述べたパワーシフトはこのような動きを受けたものである。

  2017年10月には大阪府吹田市が電力の購入先を再生可能エネルギー比率の高い新電力会社に切り替えるなど、パワーシフトの動きは進みつつある。当会は、パワーシフトを検討中の方々の参考となるべく、電力会社の選択基準を示すとともに、率先して具体的な行動を起こすことで、再生可能エネルギーの導入拡大を加速させたいと考えている。

当会は、これからも、持続可能な社会を実現すべく、より一層の取り組みを進めていく所存である。

【電力会社選択基準】
1  原子力発電及び石炭火力発電に依存しない電力会社であること
2  電源構成に占める再エネの割合を2030年までに30%以上、2050年までに50%以上とする目標に資する電力会社であること
3  電源構成の情報開示がなされている電力会社であること
4  小規模分散型発電事業者を積極的に選択すること

2017年(平成29年)12月20日

京  都  弁  護  士  会

会長  木  内  哲  郎
    

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