冬の楽しみ


小さいころ、嶋田家では、毎年スキー旅行が恒例行事でした。冬休みの早朝、まだ暗い時間に起こされて、私と兄は車に詰め込まれ、父の運転で長野県のスキー場へと向かうのが恒例でした。


幼ながらに、私はスキー旅行が大好きでした。関西では見慣れない真っ白な雪山の景色はとても美しく、ふかふかのパウダースキーはまるでじゅうたんのようで、とても気持ちのいいものでした。


そんな大好きだったスキー旅行も、父の仕事の事情などもあり、小学校高学年くらいを最後に、無くなってしまいました。大阪在住の私は、以後、スキーから遠ざかってしまいました。


そもそも、なぜ、嶋田家はスキー旅行に毎年行っていたかというと、父親が大学時代にスキーに打ち込んでいたからです。打ち込み過ぎて、大学を1年留年したそうです。そんな父の背中を追ってか、兄も、大学に入学するとスキーサークルに入り、冬の間、長野県のペンションで働き、スキー漬けの日々を過ごしていました。ちなみに、兄は大学を1年半留年しました。


そんな二人を見ていた私は、スキーは人を駄目にする、ろくでもないスポーツだと理解し、スキーと無縁な学生生活を送りました。そのおかげか、大学は何とか4年で卒業できました。



しかし、スキーと無縁な生活は、突然終わりを告げました。



司法試験に合格し、司法修習生となった昨年、修習仲間とスキー旅行に行く機会がありました。久しぶりに見る雪山の景色の美しさ、パウダースノーのふかふかした心地よさに、完全に心を持っていかれました。スキーに憑りつかれた私は、3週連続で雪山に通いました。2週目は兄と、3週目に至っては、「上手くなりたい!」という一心で、単身、長野県の名門、白馬八方のスキースクールの門をたたきました。


やはり遺伝なのでしょうか。


冬が終わった後も、You Tubeでスキーの動画を見るのが日課で、スキー熱は全く冷めませんでした。そうこうしているうちに、修習も終わり、とうとう弁護士になりました。
そして、弁護士として初めての冬が到来しました。スキーシーズン到来です!


・・とは言うものの、やはり、今はスキーどころではなく、日々業務に追われています。修習生の時のような、ゆったりとした日々とは異なり、責任も感じ、疲れ具合も全く違います。


そんな日々を過ごしていると、やはり趣味の大切さを感じます。心身のリフレッシュが、仕事にもいい影響を与えると、つくづく思います。


今、ひそかに長野行きを計画しています。雪山の景色、パウダースノーの感触を思うと、しんどい仕事も頑張れる気がします。


父や兄のように、どっぷり浸からないように、程よい距離感でこれからも、スキーと付き合っていきたいです。

弁護士  嶋田 隼也(平成30年2月6日記)


関連情報