「裁判官任用者数の削減に抗議し、その増員等を求める会長声明」(2018年2月22日)


1.司法試験合格者の大幅な増加に伴い、弁護士だけが増える結果となったことによって、弁護士を志望する修習生に深刻な就職難を招き、ひいては法曹志望者の減少を招いているとして、当会は、司法試験合格者を大幅に減少させるべきであるし、司法基盤の拡充のために裁判官や検察官の大幅な増員を進めるべきであると強く求めてきたところである。
2.いわゆる新司法修習が開始されて以降、第62期司法修習生からは106名が任用されるなど、ほぼ毎年100名に近い裁判官任用が行われてきた。
ところが、第69期からの裁判官任用は78名と大きく削減され、平成29年12月における第70期(司法試験合格者数は1543名)からの任用は65名に止まった。第58期(司法試験合格者数は1170名)からの任用が124名であったことと比較すると、ほぼ半減したことになる。第70期からの検察官任用は67名であり、検察官の任用者数よりも裁判官の任用者数が少なかったことにもなる。
3.このように、最高裁判所が突出して裁判官の任用者数を削減したことは、司法基盤の整備とは正反対の方向に舵を切ったと評価せざるを得ない。また、この削減によって、法曹志望者の減少にさらなる拍車をかけることも懸念される。
    しかも、かかる重大な政策変更につき、国民に何らの理由も公表されていない点も問題である。これまで、法曹養成制度の改革については、法曹養成制度改革推進会議、法曹養成制度改革顧問会議及び法曹養成制度改革連絡協議会を設置するなど、各分野の意見を調整しながら、改革の方向性について協議を重ねてきたが、かかる経緯を無視するものであるといわざるを得ない。
4.よって当会は、最高裁判所が、第70期司法修習生からの裁判官任用を65名に止めたことは不当であると考える。そこで、最高裁判所に対し、今後は任用者数を増員することを求めるとともに、上記任用者数に止めた理由につき、国民に公表することを求める。

      2018年(平成30年)2月22日

京  都  弁  護  士  会

会長  木  内  哲  郎
  

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