意見書

「名寄帳等への非課税不動産の登載について(要望)」(2018年3月22日)


2018年(平成30年)3月22日

京都市長  門  川  大  作  殿

京都弁護士会

会長  木  内  哲  郎

京都司法書士会

会長  山  口  基  樹



名寄帳等への非課税不動産の登載について(要望)


第1  要望の趣旨
  市民の登記名義の適正な承継の確保を目的として、京都市発行の名寄帳等(名寄帳、納税通知書、固定資産税評価証明書)に、道路等の非課税不動産の表示を登載していただきたく要望します。

第2  要望の理由
  弁護士及び司法書士は、日頃から、弁護士においては遺産分割協議や遺産分割調停の代理業務や不動産売買契約書の作成業務等に当たり、司法書士においては相続や売買等を原因とする不動産登記申請業務に当たっておりますところ、京都市内の不動産の取引又は相続手続において、遺産分割協議や遺産分割調停成立後あるいは不動産売買取引完了後、さらには登記申請の当日もしくは後日に、本来登記申請の対象とすべき土地について取引や手続の対象から漏れてしまっていることを発見する事例が多数あります。
  売主や相続人等、当事者自身が所有不動産について正確に把握していない場合、一部を失念している場合が見受けられます。通常、取引であれば仲介業者等が、相続手続を弁護士又は司法書士に依頼されたのであれば弁護士又は司法書士が、周辺に附属した不動産持分の有無の調査を行いますが、その際に行政機関に対して当事者の名義である不動産全ての名寄帳や評価証明書を請求するのが、調査方法として非常に有効となります。
  しかし、京都市においては道路をはじめとする非課税不動産が名寄帳にも評価証明書にも表示されないため、当事者の持分のある非課税不動産を発見することが難しくなっています。我々の把握する限り、京都府下で非課税不動産の表示が名寄帳等に登載されない市町村は京都市のみで、他市町村では上記方法で当事者の所有土地を容易にほぼ漏れなく把握することができます。
  他方、名寄帳等の請求以外に、当事者の所有土地を調査する方法としては、
(1)権利証・登記識別情報通知を確認する
(2)当事者の所有する主要な土地の隣接部分についての登記事項証明書を取得して確認する
といったことが考えられます。
  しかしながら、(1)は当事者が権利証・登記識別情報通知を紛失している場合や、権利証・登記識別情報が二通以上に分かれていて、当事者が主要部分のものしか保管できていない場合には、確認はできません。また、相続人間で争いがあり、権利証・登記識別情報通知を保管していない相続人から遺産分割調停等の申立をする場合には、前記書類の確認は困難です。(2)は無関係な土地の登記事項証明書も多く取得することになり、市民の負担が増大します。また、附属部分の土地であっても、主要部分に隣接しているとは限らず、際限なく登記事項証明書を取得することもできないため、主要部分に隣接していない所有土地を発見することはかなり困難です。したがって(1)・(2)ともに万全な調査方法とはいえません。
  また、一般の方のなかでは毎年届く固定資産税納税通知書の課税明細に記載されている不動産が所有不動産の全てと思う方が多く、課税明細に不動産の表示がないと非課税不動産の持分について失念しやすくなります。それを失念した状態で相続手続を当事者本人が行う場合、附属した不動産持分の有無の調査を本人が行うことはほとんど考えられず、相続手続の漏れが生じる可能性が極めて高くなります。
  実際に、過去の相続手続において、非課税のために表示されていなかった私道部分が手続から漏れてしまい、その結果、登記名義が亡き名義人のまま放置され、年月の経過により相続関係がさらに複雑となって相続手続が困難を極める例、売買取引の際に私道部分の所有権移転登記が行われず売主名義になったままであることに後日気づいても、売主の連絡先がわからず放置されている例等が散見されます。
  附属する土地の登記名義が真正でない状態は、主要部分の利用価値や資産価値に影響を及ぼすため、これを放置すると主要部分にまで権利の空洞化を招き、市民の私有財産の権利保護に欠けるだけでなく、当事者や相続人がその土地の管理を放棄すれば、昨今社会問題となっている所有者不明土地問題や空き家問題の要因ともなりかねません。
  また、相続手続が長年放置され、あまりに相続関係が複雑になった場合には、公共の目的のために土地の収用が必要になったときに、その手続が非常に困難となるものと考えます。東日本大震災の復旧の遅滞の例にもあるように、このことは、将来、京都市において、大規模災害が発生した際の復旧を阻害する要因となります。

第3  まとめ
  以上のとおり、名寄帳等に非課税不動産の表示を登載することは、市民及び行政の双方にとってメリットが非常に大きいので、貴市におかれましては、名寄帳等の見直しをご検討いただきたく存じます。
何卒ご配慮を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
以 上


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