「2018年度(平成30年度)司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明」(2018年6月21日)


  2018年度(平成30年度)の法科大学院志願者数は延べ8,058名(前年度比101名減)、入学者数は1,621名(同83名減)、司法試験出願者数は5,811名(同905名減)、受験者数は5,238名(同729名減)にまで落ち込みました。ピーク時には、法科大学院志望者数が延べ72,800名(2004年度(平成16年度))、司法試験出願者数が11,891名(2011年度(平成23年度))あったことを考えると、法曹志願者の急減に歯止めがかかっていない状況です。
  司法は、国民の権利義務や社会正義に深く関わるものであり、その司法を担う法曹の質の維持・向上は、国民にとって重大な課題・要請です。現状のように法曹志願者の急減に歯止めがかからない状況においては、その中の有為な人材の絶対数が減少するのは当然であり、法曹の質の確保に疑念が生じるところです。
  一方、2015年(平成27年)6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議は、「法曹人口の在り方について(検討結果取りまとめ)」において、司法試験合格者数を年間1,500名程度は輩出すべきとする方針を決定しました。
  しかし、法曹志願者が急減している現状において、単に合格者数を確保するためにのみ合格ラインが引き下げられると、司法試験制度に期待される選抜機能が大きく損なわれ、合格者の質を制度的に担保できない事態が想定されることから、当会は、昨年度の司法試験につき、1,500名程度以上とされる合格者数の確保のみを優先するべきではないとの会長声明(2017年度(平成29年度)司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明)を発したところです。
  そして、法曹志願者数の急減に歯止めがかかっていない状況に鑑みると、今後の司法試験の合格判定は、合格者数の確保のみが優先されるべきではなく、法曹の質の維持・向上という必須の要請を踏まえ、より一層厳正に行われなければなりません。
したがって、当会は、2018年度(平成30年度)司法試験の合格判定にあたっても、厳正な判定が行われることを求めます。

2018年(平成30年)6月21日

京  都  弁  護  士  会

会長  浅  野  則  明


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