コミュ力について考えてみた件


「コミュニケーション能力は重要である。」
どのような業界でもよく耳にするフレーズです。
これは、コミュ力が信頼できる人間関係を築いていくために必須である、ということを表しているのだと思います。
しかし、皆さんの中には話下手だから、あるいは上手に思っていることを表現できないからという理由で自分はコミュ障だと考える人もいると思います。果たしてその認識は正しいのでしょうか。
ここで、コミュ力とは何か?少し考えてみたいと思います。

▼コミュ力とは「尋ねる力」である
まず、コミュ力というと、人前で話術が得意な人を連想する人は多いと思います。
ところで、人間はプライベートな話題について「自己開示」(自分の情報を開示すること)をした相手のことを信頼できるようになるという傾向があることがわかっています。したがって、信頼を得やすい人とは、相手から自己開示を多く引き出せた人ということになります。

もっとも、自分から発信するだけでは単なる押し付けで終わってしまい、相手から自己開示を引き出すことはできません。
よって、自己開示を多く引き出すための質問をすることが重要であるということになります。
つまり、コミュ力とは、言い換えれば質問する能力だということだと分かります。

このように、会話に自信がなくても、まずは自分から自己開示をした上で、相手に質問することによって自己開示を返してもらうことで効果的なコミュニケーションをとることが可能であり、それさえできれば「コミュ力が高い」ということになるのではないかと思います。

▼「LINE・メール」が最強のコミュニケーション・ツール?
次に、自己開示には直接会って会話することが最も効果的なのでしょうか?

これに関して男女の信頼関係の研究で意外な実験結果があります。
どのようなものかというと、男女の親密度は、LINEやメールによる会話の方が、対面やWebカメラで会話をするよりも高かったというものです。

多くの人は、直接相手と会って話さなければ信頼関係は作れないと思いがちです。
しかし、これは会って話しているのだから大丈夫と安心したい心理が影響していると思います。
実際はメールでのやり取りの方が、相手の顔色を窺って脚色したり、自分を良く見せようとして事実とは違うことをとっさに口走ったりしないため、
①相手の聞いてほしいことを正確に聞ける
②自分の言いたいことを正確に言える
という利点があります。
これらの点で、誤りの少ない自己開示ができるテキストベースでのやり取りの方が、実は信頼関係を築くのに効果的なツールだということです。

▼状況が裏切りを作り出す?
最後に、こうして構築された信頼関係にメンテナンスは必要ないのでしょうか?
例えば、信頼関係ができていると思っていた相手から突然裏切られたような経験をしたことがある方もいるかもしれません。その原因は何なのでしょうか?

これに関係する研究では、15日に1回のペースで自己開示をしなければ人間関係の親密度が失われていくという、研究結果があるようです。
つまり、最後の自己開示から15日以上経つと、こちらが相手を信頼していたとしても状況次第では相手から裏切られることになる、ということです。

私たちは、長期的に継続しない関係ならばそもそも信頼関係を築こうとはしないでしょうし、裏切りは裏切りやすい状況下にあることで起こっていると考えられますね。

▼正しいコミュニケーションで信頼関係を構築するには?
以上簡単にご紹介した研究結果から、効率的により良い人間関係を作るためのコミュニケーションの条件が見えてきたような気がします。
上記研究結果をまとめると、私たちが相手との間で信頼できる人間関係を作るには、2週間に1回テキストベースでプライベートな会話のやり取りをすることが最も効果的、ということになりますね。

皆さんも是非試してみてはいかがでしょうか。

田村  遼太郎(2018年8月20日記)


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