声明

「地方公共団体が開催する講演会への不当な妨害に関する会長声明」(2018年12月19日)


地方公共団体が開催する講演会への不当な妨害に関する会長声明


1  京都府南丹市が「京都丹波子育て応援フェスタ」の一環として企画した2018年(平成30年)11月24日の子育て応援講演会は、当初、精神科医の香山リカ氏が講演を行う予定であったが、直前になって突如香山氏の講演が中止となり、別の講師に差し替えられた。
市は、中止の理由について、香山氏の講演の進行を妨げようとする内容の電話があったからとしている。報道によると、この講演に対して電話による抗議が5件、来庁による抗議が1件あったとされており、その内容は「香山さんをよく思わない人が行くかもしれない。大音量を発する車が来たり、イベント会場で暴力を振るわれ、けが人が出たら大変だろう」、「日の丸の服を着て行ってもいいのか」などというものであったとされている。市は、京都府南丹警察署に相談したというが、被害届は出していない。

2  上記のように講演会の妨害や暴力を示唆して講演自体の取り止めを求める行為(以下「当該行為」という。)は、刑法上の脅迫罪または威力業務妨害罪に該当するものである。講演者や講演内容に対する批判は、言論の自由として当然認められるべきものであるが、当該行為はそのような言論の埒外の犯罪行為に該当するものであり、いかなる理由があっても許されるものではない。
    また、言論及び集会の自由が保障され、誰もが自由に自らの意見を述べ、誰もがこれを自由に聴くことができることは、日本国憲法が採用する民主主義の根幹をなすものである。当該行為により講演が中止に至ったことで、講演者が講演する機会及び市民がこれを聴く機会を奪うこととなり、間接的には言論の萎縮を招くことが懸念され、この点においても当該行為は許されるものではない。

3  他方、市は、当該行為により、適切な環境下でイベントを実施することができないと判断し、やむなく当該講演者による講演を中止したとしている。行政機関においては、市民の安全を守ると共に、民主主義社会を維持・発展させる責務があるところ、行政機関が主催する講演会において当該行為のような不当な妨害行為や要求を受けた場合には、これに屈することのないよう毅然とした対応をとることが求められる。
    そのためには、当該地方公共団体や地元警察署だけで対応するのではなく、他の地方公共団体、警察本部のほか弁護士会等関係機関が連携し、一体となって対応する必要がある。

4  以上から、当会は、言論に対する不当な威嚇行為である当該行為を強く非難するとともに、今後、自由な言論を保障し、ひいては民主主義社会を維持・発展させるべく、より積極的に取り組む決意を表明する。そのうえで、京都府下の地方公共団体が不当な要求に屈することなく毅然とした対応をとることができるよう、地方公共団体、京都府警察本部等の関係諸機関に対し、当会と共に連携して対応することを呼びかけるものである。

2018年(平成30年)12月19日

京  都  弁  護  士  会

会長  浅  野  則  明


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