自衛隊のイラク派遣延長反対、イラクからの即時撤退、並びに「イラクにおける人道復興支援活動等の実施に関する特別措置法」の廃止を求める会長声明(2004年11月30日)
1 政府は、「イラクにおける人道復興支援活動等の実施に関する特別措置法」(イラク特措法)による自衛隊のイラク派遣期間を延長する方針を明らかにしている。
2 しかし、米軍によるファルージャに対する爆撃等により、多数のイラク市民が死傷し、負傷したイラク市民の治療もままならない状況となっている。イラク市民を殺傷する米軍の行為は文民に対する攻撃を禁じたジュネーブ条約第一議定書に違反するものであるが、米軍のこのような都市に対する無差別攻撃がイラク市民の米軍に対する憎しみを招き、イラク全土において米軍に対する抵抗運動を連鎖的に発生させることが憂慮される。現在、ファルージャのみならず、イラク全土が戦闘状態にあるといわざるをえず、しかもその状態が近いうちに終息する見通しはない。
この間、10月23日にサマワに駐留する自衛隊に対してロケット弾が撃ち込まれ、11月1日には砲弾により自衛隊施設が損壊した。11月17日にはイラクの反米勢力幹部が自衛隊を占領軍と規定し、自衛隊に対する攻撃を示唆している。また、同じくサマワに駐留するオランダ軍は来年3月にサマワから撤退することを決めている。こうしてみると、サマワは戦闘地域であり、反米勢力による自衛隊員に対する攻撃の危険性は極めて高まっているといわざるをえない。
3 イラク特措法は、非戦闘地域においてのみ自衛隊の活動を許容しているところ、小泉首相は非戦闘地域の意義について、「自衛隊の活動する地域が非戦闘地域である」と詭弁を弄し、サマワが非戦闘地域であるか否かについて検討していることが全くうかがえない。自衛隊員の生命を軽視する首相の説明は、イラク特措法9条の安全確保に配慮すべき義務を否定する許し難い暴言であるといわねばならない。
現時点においては、イラクが非戦闘状態であるというイラク特措法の基本枠組は完全に崩れており、政府は、イラク特措法8条にもとづき自衛隊の活動を直ちに中止させ、イラクから撤退させるべきである。また、イラク特措法の基本枠組が崩れてしまった以上、イラク特措法は廃止すべきである。
4 当会は、2003年7月4日の会長声明において、「本法案は、わが国の陸上部隊が重装備の武器を携行してイラクへ赴き、米英軍を支援する行動を展開し、イラク国民にとって敵対する軍隊とみられてもやむをえない行動を推し進めようとするものであると考えざるを得ず、よって、戦争と武力行使を永久に放棄し、国の交戦権を禁じた憲法9条に、真っ向から反する疑いが非常に強い。」と指摘し、イラク特措法の廃案を求めた。当会の危惧は不幸にも現実化しており、イラク特措法は憲法9条に反するものとなっている。
5 よって、当会は、政府に対し、自衛隊の派遣駐留を延長する方針を取り止めて自衛隊
を直ちに撤退させること、並びにイラク特措法の廃止を強く求めるものである。