意見書

憲法改正国民投票法案の参議院での慎重審議を求める声明(2007年4月26日)


  与党は4月13日、衆議院本会議において、「日本国憲法の改正手続に関する法律案」を強行採決し、参議院に送付した。
  憲法改正国民投票は、主権者である国民が、我が国の最高法規である憲法の在り方について直接意見を表明するという国政上の重大問題である。当会は2006年10月13日、与党法案及び民主党案の双方に対し、国民投票までの期間、投票権、改憲発議ないし投票の方法、国民の承認の要件、公務員・教育者についての国民投票運動の禁止、組織的多数人買収および利害誘導罪、広報協議会、政党による放送・新聞広告、無効訴訟の在り方などの多項目にわたって、問題点を指摘し、法案の修正が必要であると表明してきた。
  しかるに、今回可決された法案は、(1)罰則こそ排除されたものの、主権者である国民の中でも公務員や教育者の地位利用による国民投票運動を禁止しており、基本的人権である表現の自由に対する必要最小限度の制約を超えていること、(2)憲法改正案の広報を行う国民投票広報協議会の構成が所属議員の比率によって選任されるため、国民に対して反対意見が公正かつ十分に広報されないおそれが強いこと、(3)国会の発議から国民投票までの期間が僅か60日ないし180日とされているため、重要な争点について国民がじっくり考えて意見を持つ時間が保障されていないこと、(4)過半数の賛成の対象が有効投票総数とハードルを極めて低くし、最低得票率の定めもないことから、少数の賛成によって憲法改正がなされるおそれがあることなど、主権者である国民の承認を得るという点では重大な欠陥を有している。
  このたび衆議院においては、中央公聴会を2回、地方公聴会を新潟と大阪で開いただけであり、採択された修正法案についての委員会での質疑は2回に過ぎないなど、十分な審議がなされないまま、与党案の強行採決がなされたことは極めて遺憾と言わざるを得ない。
  参議院においては、衆議院の轍を踏むことなく、少なくとも憲法改正という国家の最重要課題について、主権者の意思を反映させるという国民投票制度の本来の目的と趣旨を十分に生かすよう、主権者たる国民の声に広く耳を傾けた上で慎重に審議されることを強く求めるものである。


2007年(平成19年)4月26日

京都弁護士会              

会長  中  村  利  雄

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