「日本国憲法の改正手続に関する法律」成立についての会長声明(2007年5月17日)


  本年5月14日、参議院において「日本国憲法の改正手続に関する法律」(以下、「憲法改正手続法」という。)が可決成立した。
  憲法改正手続法案は、(1)公務員や教育者の国民投票運動の制限、(2)憲法改正案の広報が公正かつ十分に広報されないおそれが強いこと、(3)国会の発議から国民投票までの期間が僅か60日ないし180日とされていること、(4)過半数の賛成の対象が有効投票総数とハードルを極めて低くし、最低得票率の定めもないことから、少数の賛成によって憲法改正がなされるおそれがあることなど、多くの問題点があるため、当会は、本年4月26日、参議院における慎重審議を求める会長声明を発表し、参議院の慎重審議を求めてきた。
  しかるに、参議院においても4月13日の衆議院可決からわずか1カ月間の不十分な審議しかなされず、極めて遺憾と言わざるを得ない。憲法改正手続法案が十分な審議を経ていない問題が多いものであることは、最低投票率制度の意義・是非について検討することを含む18項目にわたる附帯決議がなされたことからも明らかである。
  憲法改正手続法の国民投票に関する規定の施行は公布から3年後とされている。
  当会は、国会に対し、この3年間の間に附帯決議がなされた事項にとどまらず、憲法改正権者は主権者である国民であるという視点に立ち、真に国民の意思を反映した国民投票ができるような法律にするべく抜本的な見直しがなされることを強く求めるとともに、今後も引き続き同法の問題点を指摘し、抜本的見直しのために必要な提言をしていく決意である。

2007年(平成19年)5月17日

京都弁護士会            

会長  中  村  利  雄


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