割賦販売法改正に関する会長声明(2007年12月13日)


  2007年(平成19年)11月29日、経済産業省の諮問機関である産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会は、割賦販売法改正に導入すべき措置に関する最終報告書をまとめた。
  同報告書は、(1)消費者トラブルが多発している個品割賦購入あっせん型クレジット取引に関して、1.取引業者の登録制の導入と行政権限の整備、2.書面交付義務の法定とクーリングオフの導入、3.適正与信義務の導入、4.一定の要件のもとに既払金の返還を認めることとし、(2)過剰与信防止義務の法定、(3)割賦要件の廃止、(4)指定商品制の廃止等を求めている。
  これらの点は、消費者が安心して利用できるクレジット制度の確立の実現を目指すものとして評価すべきである。しかし、同報告書には、以下の不十分な点があり、今後の法案化に向けてより改善がなされることを求める。
  第一に、既払金の返還の点である。同報告書が、悪質商法が行われた場合、クレジット会社の過失を要件とせずにクレジット会社が既払金を返還するという措置を求めたことは評価すべきである。しかし、同報告書は、訪問販売業者が不実告知等を行ってクレジット取引を利用した場合に限って、既払金の返還をさせるべきとしているが、不実告知に限らず、債務不履行型被害の場合にも既払金の返還をさせるべき必要性は高い。また、訪問販売業者が個品割賦購入あっせん型クレジット取引を利用した場合に悪質商法が多く行われたことは事実であるが、悪質商法の排除という点からは、訪問販売業者がこの類型のクレジット取引を利用した場合に限定する理由はない。広くクレジット取引を用いた悪質商法に既払金の返還をさせることを求める。
  第二に、過剰与信防止義務の点である。過剰与信防止義務を法定化するだけでは現在多発しているクレジットの過剰与信問題を解決できるとは考えられない。
  実効的な過剰与信規制を行うためには、具体的な過剰与信基準を定め、これに違反したときは過量販売契約の取消権を認めるとともに、クレジット契約も取り消すことができるようにすることを求める。

2007(平成19)年12月13日

京都弁護士会                            
                  
会  長      中    村    利    雄


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