声明

「死刑執行に対する会長声明」(2008年6月26日)


  6月17日、東京拘置所で2名、大阪拘置所で1名の死刑確定者に対する死刑が執行され、鳩山法相就任以後の死刑執行は13名となった。
  わが国では、4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し、死刑判決にも誤判が存在したことが明らかとなっている。そして、現在に至るも、このような誤判が生じるに至った制度上、運用上の問題点について、抜本的な改善は図られておらず、誤判の危険性が不可避なままである。また、死刑と無期懲役の量刑につき、裁判所によって判断の分かれる事例が出されており、死刑についての明確な基準が存在しない状況にある。
  さらに、死刑確定者に対しては、外部交通が厳しく制限され、再審請求をはじめとする権利行使の妨げとなっているなど、その処遇の問題点も指摘されている。
  1989(平成元)年、国連で国際人権(自由権)規約第二選択議定書(死刑廃止条約)が採択され、EU加盟国はすべて死刑を廃止し、世界の半数を超える国が法律上あるいは事実上死刑を廃止している。そして、2007(平成19)年12月には、国連総会本会議において、すべての死刑存置国に対して、死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の一時停止を求めることなどを内容とする決議が初めて採択されるなど、死刑廃止は国際的な潮流となっている。本年5月には、国連人権委員会より、わが国に対し、死刑執行を停止するよう勧告されている。
  また、国内においても、来年5月から裁判員制度が施行されることもあり、死刑制度の是非について意見が分かれている状況にある。
  このような状況を踏まえた上で、死刑制度の存廃について早急に広範な議論を行う必要があり、日本弁護士連合会は、死刑制度の存廃につき議論を尽くし、死刑制度に関する検討及び改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱している。
そして、日本弁護士連合会は、死刑執行のなされるつど、法務大臣に対し、死刑の執行を停止するよう要請しており、当会もまた、2006(平成18)年6月8日、死刑確定者に対する死刑執行の停止を要請している。
  しかしながら、今般、再び死刑執行がなされたことは極めて遺憾であり、死刑制度についての議論が尽くされないまま死刑執行が繰り返されていることに厳重に抗議するとともに、改めて、現在の死刑確定者に対する死刑執行の停止を要請するものである。

    2008(平成20)年6月26日

京都弁護士会                
            
会 長  石  川  良  一


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