法曹一元及び陪・参審の実現等を求める決議(1999年10月26日)


  本年7月、司法制度改革審議会が発足し、いよいよ今後2年間にわたり、21世紀におけるわが国の司法制度のあり方とその改革についての国民的見地からの論議が開始された。当会は、これまで司法改革のための様々な提言・活動を行ってきたが、司法制度改革審議会に向けて、以下のとおり決議する。


  1. 法曹一元と陪・参審の実現
      国民の権利が保障され、民主主義が機能する社会の実現のためには、司法が適正に機能しなければならない。しかしながら、司法の現状を見ると、基本的人権の保障や立法・行政に対するチェックが不十分であり、権利救済・紛争解決の両面において司法が機能不全に陥っていると言わざるをえない。
      このような状況の根源は、キャリア裁判官制度と国民の司法参加の欠如にある。戦後制定された憲法及び裁判所法等は、法曹一元と陪審制度をその視野においていると考えられるが、現実にはいずれの制度も実施を見ないまま今日に至った。司法修習修了者から判事補を採用し、裁判所内部における10年間の研修・経験を経て判事とし、その後もおおむね年齢とともに昇給するキャリア裁判官制度がとられ、最高裁判所を頂点とする官僚的裁判官制度ができあがった。この制度の上に、人事統制と批判されるような恣意的な人事の運用がなされ、裁判官の独立と市民的自由を脅かしてきたのである。
      21世紀の司法においては、制度を抜本的に改革し、・.法の支配の徹底に必要不可欠な独立した裁判官を創出するため、広く弁護士を中心とした法曹各層から裁判官適任者を選任する法曹一元、・.司法の民主化のための国民の司法参加、陪・参審制度を、導入すべきである。

  2. 審議のあり方
      審議会において国民的見地からの審議を可能とするためには、国民に対する審議の公開及び国民の意見の反映が必要である。このため、マスコミを初めとする国民に審議を傍聴させ、かつ裁判当事者、検察審査会委員経験者や司法改革活動を行う団体など、司法に関与する多くの国民の意見を聞く機会をもつべきである。

  我々は、本決議に当たり、司法改革の実現のために、弁護士人口の増加、弁護士過疎の解消など弁護士自身のあり方も改善する必要があることを自覚し、かつ弁護士がより国民に身近な存在になるべきだとの国民の批判を真摯に受け止め、積極的な自己改革を行うことの決意を表明する。

以上のとおり、決議する。


1999年(平成11年)10月26日

京  都  弁  護  士  会


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