貸金業の金利引下げに関する決議(1999年4月22日)


当会は、消費者・サラ金被害救済センターを設置し、早くからサラ金被害者、多重債務被害者の救済に取り組んできた。
    昨今、長期化する経済不況の下において、個人の自己破産及び多重債務者の急増が深刻な社会問題となっている。個人の自己破産申立件数は、一昨年7万件余、昨年10万件余と急増し、その背後には150万人を下らない多重債務に苦しむ者がいるといわれている。多重債務者は生活破綻に陥り、苛酷な取立てにさらされている。一方で、超低金利のデフレ経済情勢の下での高金利貸付と与信拡大により、貸金業者は史上空前の利益を上げている。
  多重債務者の問題は、債務者側のモラルの問題だけでなく、消費者金融業者や商工ローン業者等の高金利貸付、クレジットカードの大量発行や無人契約機の急増等による過剰与信に根ざしているものである。これについて対策をとらなければ、多重債務被害の解決はあり得ない。
  ところが、現在のような空前の低金利下においても、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(出資法)の上限金利は、年率40.004%(日賦貸金業者については109.5%、電話担保金融業者については54.75%)という異常に高い水準に維持されている。そればかりか、このような高金利の是正措置をしないまま、ノンバンクの社債発行の規制(出資法2条3項)を撤廃し、一定の措置の下にこれを自由化する「金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律」(ノンバンク社債発行法)及び出資法改正法が、4月14日、制定された。これにより、以前にも増して高金利・過剰貸付が拡大し、多重債務被害のさらなる増大が強く憂慮される。
  貸金業者の高金利の是正は、今や急務の課題である。
  そこで、当会は、  貸金業者の高金利を是正するために、・出資法の上限金利を利息制限法の上限利率まで引き下げる、・出資法の日賦貸金業者及び電話担保金融についての特例を廃止する、・貸金業規制法43条のみなし弁済規定を廃止する法改正を早急に行うことを求めるものである。

以上のとおり、決議する。


1999年(平成11年)4月22日

京  都  弁  護  士  会

会  長      村    山        晃


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