「法曹の養成に関するフォーラム」の公開を求める会長声明(2011年5月17日)


  政府は去る5月13日、「法曹の養成に関するフォーラム」の開催を発表した。
  フォーラムにおいては、本年8月までに司法修習の給費制の存廃問題を含む法曹養成過程への経済的支援の在り方がまず検討され、引き続いて、法曹人口問題を含む法曹養成制度全体の在り方が検討される。
  法曹の養成は、法曹三者に通有する社会正義を実現し、基本的人権を擁護する人材の育成に直接かかわる問題である。これについてフォーラムでは、司法制度改革の理念を踏まえ、法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果と昨年11月に司法修習給費制の1年間の延長を決めた裁判所法一部改正の際の衆議院法務委員会決議に基づき検討すべきものとされる。
  しかるに、政府の発表によれば、このフォーラムの会議は非公開とされている。また、議事内容については「原則として、会議終了後速やかに議事録を作成して公表する」とされるに過ぎず、発言者が顕名で公表されるかさえ明らかではない。
  しかし、司法を担う法曹の養成が市民の生活や権利に直接関わる重要問題であることはいうまでもない。フォーラムでの議論は市民に開かれたものでなければならない。「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果においても、フォーラムを「国民に開かれた議論の場」とすべきことは一致した意見とされている。
  したがって、フォーラムの会議は公開とされ、また、その議事録も発言者を顕名したものが公表されるべきである。司法制度改革審議会や先般の「検察の在り方検討会議」においては、別室におけるモニター方式で会議が公開され、発言者はすべて顕名による議事録が公表された。そうしてこそ、市民はフォーラムの議論に対して意見を表明することができ、フォーラムにおける検討を市民の意思を反映したものとすることができる。
  よって、当会はフォーラムを構成する関係諸機関及び有識者に対し、会議を公開し、議事録を顕名にすることによって、市民に開かれた充実した審理を行うよう強く求めるものである。

2011年(平成23年)5月17日

京  都  弁  護  士  会

会長  小  川  達  雄




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