「外国籍弁護士の調停委員任命を求める会長声明」(2011年12月22日)


  本日、当会は京都地方裁判所から、本年11月30日付けで同裁判所の求めに応じて合計44名の会員を民事調停委員候補者として推薦したことに対し、わが国の永住権を有する外国籍の弁護士たる会員1名について、公権力を行使する公務員である調停委員の任命には日本国籍を必要とするという理由で、同会員を除外して任命権者たる最高裁判所に対して調停委員候補者として上申する旨決したとの通知を受けた。

  しかし、「民事調停法」並びに「民事調停委員及び家事調停委員規則」は、調停委員の任命資格として日本国籍を有することを要件と定めておらず、法令上、調停委員に国籍要件は存在しない。

  調停委員は非常勤国家公務員ではあるが、その役割は当事者双方の合意を促して法的紛争の解決に寄与するというものであり、そこには強制的な契機はなく、「公権力の行使」というにはほど遠いものといってよい。
  また、最高裁判所は1974年から1988年までの間、日本国籍を有しない台湾籍の大阪弁護士会会員を西淀川簡易裁判所民事調停委員に任命していた事実がある。

  かかる事実に照らせばこのたび示された上記理由が理由たりえないことは明らかであり、このたび京都地方裁判所が外国籍であるがゆえに民事調停委員としての適格性を認めず、当会会員を最高裁判所に対して上申する調停委員候補者から除外したことはまことに遺憾である。

  当会は、最高裁判所と京都地方裁判所に対し、法令と事実に基づき、あたかも調停委員の任命資格に国籍要件が存在するかのような取扱いを速やかに改めることを強く求めるとともに、市民に対し、国際都市京都におけるこのような取扱いが1日でも早く改められるよう、広く理解を求めるものである。

2011年(平成23年)12月22日

京  都  弁  護  士  会

会長 小  川  達  雄

  

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