声明

「東日本大震災発生から1年を迎えての会長声明」(2012年3月12日)


  2011年(平成23年)3月11日午後2時46分に東日本大震災が発生してから、1年が経過した。あらためて、地震と津波によって亡くなられた方々に哀悼の意を表するとともに、震災と東京電力福島第一原子力発電所事故により被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げる。
  被災地にあっては未だ復興には程遠い状況にあり、福島第一原発事故による放射能汚染問題とも相まって、復興への先行きが見えない。一刻も早く被災者の生活を再建し、被災者一人ひとりが安心できる生活と将来への希望を取り戻せるようにしなければならない。
  被災者の生活再建のためには、住居・事業所の復旧、住宅ローンの返済の減免等債務の整理、労働問題、事業者の再生等様々な問題を解決していかなければならない。これらの問題解決のために法的支援を行うことは、法律の専門家である弁護士の責務であり、当会としても、今まで以上に積極的にその責務を果たしていきたい。
  本年2月22日に設立された株式会社東日本大震災事業者再生支援機構が、3月5日業務を開始した。支援基準とその権限が適切に運用され、「東日本大震災の被災地域からの産業及び人口の被災地域以外の地域への流出を防止することにより被災地域における経済活動の維持を図り、もって被災地域の復興に資するようにするため」「金融機関等が有する債権の買取りその他の業務を通じて債務の負担を軽減しつつその再生を支援する」という目的が実現されることを望む。
  また、2月27日原子力損害賠償紛争解決センター申立第1号事件において和解が成立した。原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」という。)における和解仲介手続は、中間指針に基づく公正な賠償に寄与するものであるが、その解決は当初の想定を超えて大幅な遅延を余儀なくされている。東京電力株式会社は、公的資金を受けるにあたって、センターの和解仲介を尊重することを内容とする「親身・親切な賠償のための5つのお約束」を公表しているにもかかわらず、センターの示す和解案に容易に同意しようとしないことが、事件処理遅滞の要因の一つとなっている。そして、東京電力が中間指針を下回る基準でしか直接請求に応じていないことが、センターへの事件集中につながっている。このような状況が続けば、賠償を得て生活再建するために被災者が不当な譲歩を強いられる結果となりかねない。したがって、政府は東京電力に対し、上記約束の誠実な履行及び直接請求に対して中間指針を下回る基準を設けないこと等を強く指導すべきである。
  京都府の発表よれば、東日本大震災等に係る京都府への避難者の数は、295世帯810人に及ぶ(3月8日現在)。その中には、内部被曝についての正確な情報が不足しているがために、我が身と家族を守るために、自身の判断で避難している避難者もいる。ところが、自身の判断による避難者は、中間指針追補にも含まれず、全く何の支援も補償も得られない状況に置かれている。国は、こうした避難者を切り捨てることなく、支援態勢を早急に構築すべきである。
  京都府をはじめ府下の市町村に対しては、故郷から遠く離れて生活することを余儀なくされた避難者が、安心して生活することが出来るよう、住居の無償提供の期間を2年間に限定することなく、必要に応じ柔軟に対応することを求める。
  避難者は、望んで避難してきたのではない。将来的に、この京都府において新たに生活するにしても、故郷に戻るにしても、それは避難者自身の意思で選択されるべきことであって、外的要因により、避難者が選択を強いられるような事態は避けなければならない。
  当会は、避難者のための電話無料法律相談を、昨年4月18日から継続して実施している。この電話無料法律相談では、現在においても一定数の相談があり、今後も引き続き継続しいていく。さらには、避難者の元へ出向いて行って相談会を実施することも検討している。
  また、原発賠償問題について、避難者向けの説明会、相談会を実施している。
これらの法律相談活動等を通じて、避難者の法的需要を把握し、会をあげて避難者が求める支援活動に取り組んでいく所存である。
  東日本大震災の発生から1年を迎え、未だ復興にはほど遠い。
被災者、避難者が安心できる生活と将来への希望を取り戻すことが出来るまで、可能な限りの支援活動を引き続き継続していくことをあらためて決意するものである。


2012年(平成24年)3月12日

京  都  弁  護  士  会

会長  小  川  達  雄



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