意見書

京都市基本計画素案に対する意見書(2000年9月25日)



2000年(平成12年)9月25日

京都市基本構想等審議会

会長    西  島  安  則  殿
京都弁護士会
会長  三  浦  正  毅

   京都市は、昨年、京都市基本構想等審議会による答申を経て、京都市基本構想を策定し、続いて、同構想の実現に向けて全市的な観点から取り組むべき主要政策をまとめた京都市基本計画の策定作業に着手し、このほど、基本計画素案(以下「素案」という)を発表し、同素案に対する意見募集(パブリックコメント)を行っている。
   当会は、右意見募集に対し、主として環境政策の観点から−とりわけ市民参加と交通政策に重点を置いて−、意見を述べるものである。

意見の要旨



  1. 「環境先進都市として、環境行政の総合的推進による持続型都市の構築」を京都市の政策の基底として位置づけるべきである。


  2. 「環境への負担の少ない持続可能なまち」の実現のため、「自動車交通需要の管理」の観点からの交通政策の体系づくりを行うべきである。


  3. 市民参加が市民の権利であるとの基本原則を確認したうえで、市民参加のための具体的制度の構築を図るべきである。


  4. 今回のパブリックコメントで提出された市民意見の反映結果の公表市民の意見を直接聞く公聴会の開催を行うべきであり、また意見受付期間の延長を検討すべきである。



    意見



    1. 環境政策の優先性、基底性



      1. 素案は、「環境先進都市として、環境行政の総合的推進による持続型都市の構築」(素案20頁)を挙げるが、これを単に一項目とするのではなく、京都市のすべての政策の基底として位置づけるべきである。


      2. 今日、地球環境を含めた環境の保全は、国・自治体を問わず最も重要な政策課題となっている。



        1. 京都市においても、1997年(平成9年)4月、「京都市環境基本条例」を施行し、同条例前文において、「健全で恵み豊かな環境は、地球上のすべての生物にとって掛け替えのないものであり、すべての人は、その環境を享受する権利を有するとともに、その健全で恵み豊かな環境を保全し、将来の世代に継承していく責務を負っている。」とし、基本理念(3条)として、「環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市を実現すること」、「市、事業者及び市民が、すべての活動を行うに当たって、環境の保全の重要性を理解し、環境の保全について十分な配慮をする」ことを掲げている。そして、市は、「施策を策定し、又は実施するに当たっては、環境基本計画との整合性を確保しなければならない」と規定している(10条)。

          同条例が規定する「環境基本計画」に該る「新京都市環境管理計画」(1996(平成8)年3月)は、基本原則の第一に「市政における環境政策の優先性」を掲げ、「『環境の保全』とは、環境行政の基本的な課題である公害等による人の健康又は生活環境に係る被害を防止することはもとより、良好な自然環境、快適な都市空間の確保、更には地球規模の環境保全を包括する概念であって、環境保全に関する施策の範囲は、市政全般に広がっている。

          したがって、良好な環境を確保するため、市のすべての施策は、環境政策を基底とし、本計画との整合性を図りながら推進しなければならない。」と規定している。


        2. 1997年(平成9年)12月、地球温暖化防止会議(COP3)が京都で開催さ  れ、2010年における温室効果ガスの削減目標を法的拘束力をもって定めた京都議定書が採択された。

          日本の削減目標は1990年レベルより6%削減であるが、京都市は、COP3開催地として、「京都市地球温暖化対策地域推進計画」において10%削減の目標を掲げている。そして、この計画を達成するために、市民の参加とパートナーシップのもとに「環境共生都市・京都」を築く持続型社会づくりを目指して、「京(みやこ)のアジェンダ21」を策定し、市民や事業者が参加した「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」という推進組織を作って取組みを行っている。



      3. 素案においては、第1章「安らぎのあるくらし」の第3節「だれもが安心してくらせるまち」の中の第2項(19〜21頁)として「環境への負担の少ない持続可能なまち」を挙げて、「環境共生型都市・京都」を実現することを謳っている。また、第3項の「歩くことが楽しくなるまち」の中で、「環境への負担の少ない交通行動実現の支援」、「自動車交通需要の管理」という項目を立てている。しかし、全体として、環境基本条例及び環境基本計画において示された環境政策の優先性・基底性の観点が欠如しており、環境負荷の少ない持続可能な環境都市を作るという政策目標の位置づけも不十分である。

        21世紀の最初の10年間の基本計画を定めるに当たっては、「環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市の実現」(環境基本条例3条)を京都市の政策の柱に据えること、その実現のために「市のすべての施策は、環境政策を基底とすること」を京都市基本計画において明確にし、京都議定書の採択という歴史的成果を上げた地球温暖化防止京都会議の開催都市として「環境共生型都市・京都」を実現することを強く打ち出すべきである。そのために、素案第3節2項の(1)イに位置づけられている「環境先進都市として、環境行政の総合的推進による持続型都市の構築」を、政策の主要な柱として位置づけ直すべきである。


      4. 素案においては、市政における環境政策の基底性が明確になっていないこととの関連で、「環境への負担の少ない持続可能なまち」を作るという理念・目標を実現するための政策が、トータルにまとめて記述されておらず、環境政策の全体像や位置づけ、相互の関連が不明確でわかりにくいものになっている。



        1. まず、地球環境保全を含め、環境負荷を環境容量の範囲内に最小化して「環境共生型都市・京都」を作りあげていくための主要な政策目標をトータルに掲げ、それぞれの政策目標ごとにそれを実現するための方策を記述していくべきである。

          このような主要な政策目標としては、次のような事項を盛り込むべきである。



          1. 自動車交通量の削減、交通需要管理、公共交通の充実を含む総合的交通体系の確立
          2. エネルギー・資源の消費削減と自然エネルギーの利用促進
          3. 廃棄物を出さない資源循環型社会の構築
          4. 歴史的環境の保全、景観・まちなみの保全・形成
          5. 市民の自主的な活動の促進・支援、環境教育の充実
          6. 政策や上位計画において市民が参加できるしくみーいわゆる戦略的環境アセスメントを含む環境アセスメントの充実


        2. 素案は、「地球環境保全の取組」と題する項(19〜20頁)の中で、次のような項目を列挙している。


          ア.「京(みやこ)のアジェンダ21フォーラム」を核とした、市民と一体となった環境問題への行動計画の取組

          イ.環境先進都市として、環境行政の総合的推進による持続型都市の構築

          ウ.ダイオキシン類対策や大気・土壌・水質などの常時監視による、環境汚染の防止と生活環境の保全

          エ.「総合的地球環境学研究所」(国立)の創設促進

          しかし、イ.の「持続型都市の構築」は環境政策の基本理念・基本目標に位置づけられるべき事項で、ア.の「アジェンダ21フォーラムを核とした、市民と一体となった行動計画への取組」は、その理念・目標を実現するための仕組み・方策として記述されるべきである。また、イ.の「持続型都市の構築」の中で挙げられている項目は、「新京都市役所エコオフィスプラン」の推進など、「持続型都市の構築」という目標実現のための施策内容としてはあまりに狭い範囲に限定されている。

          このように、素案においては、環境政策の理念・政策目標とそれを実現するための施策・仕組みについての優先順位や相互の関係が整理されないまま、羅列的に記述されているという批判を免れない。前記のとおり、持続可能な「環境共生型都市・京都」を作りあげるという理念・目標を市政における高次の目標として明確にした上で、その具体的内容を構成する政策とそれを実現する仕組みを整理して、トータルな環境政策を記述すべきである。


      5. 環境政策の優先性・基底性の観点からは、既存の政策・計画を含めて、経済政策・産業政策・開発計画・事業計画などについて環境政策との整合性を図り、環境の観点からアセスメントをし再評価をすることが求められる。

        このような観点から素案を見た場合、最も矛盾が見られるのは、交通政策の部分である。





    2. 交通政策に関する部分について



      1. 素案は、上記のとおり、「環境への負担の少ない持続可能なまち」を目指して公共交通機関・自転車利用などを促進する環境にやさしい交通体系の創出を(19頁)、また、「歩くことが楽しくなるまち」を目指してバス・鉄道などの公共交通機関のネットワークの充実を(23頁)、さらには、「自動車交通需要の管理」を謳っており、総論としての方向性は妥当なものと評価できる。しかし、各論としての諸政策を見ると、総論との整合性が見られず、以下の点を考慮して改めて計画を策定し直すべきである。


      2. 素案は、「自動車交通需要の管理」という概念を設定している(24頁)。この考え方は、従来の、自動車交通量需要にあわせて道路を供給していこうという政策ではなく、自動車交通量そのものを抑制・管理しようとするもので、近年の交通政策においては常識化しつつある政策である。京都市も、1993年(平成5年)3月策定の「京都市自動車公害防止計画」の中で、自動車交通量抑制を対策の柱として掲げ、京都市環境審議会の1995年(平成7年)2月の答申「新しい時代の環境保全対策のあり方について」においても、市内に流入又は通過する自動車交通量の抑制と自動車交通量の発生需要抑制が基本的施策として掲げられている。しかし、素案における施策の具体的内容を見ると、環状道路の整備や都市計画街路網の整備を都市内道路の骨格となるものとして整備していくことを内実としており、道路建設によって交通を分散させることができるという、従来型の自動車交通需要追随型の政策から脱却できておらず、素案の掲げる「自動車交通需要の管理」とも、その目標とする「環境への負担の少ない持続可能なまち」の実現ともあい矛盾することになる。


      3. 素案が、総論では、自動車交通需要の管理という概念を設定しながら、各論において従来型の道路供給型の政策に立脚していることは、「多彩な経済・文化活動を支える基盤のしっかりしたまち」として、第二京阪道路の整備促進、京都高速道路(新十条通、油小路線堀川線、久世橋線、西大路線)の計画・整備促進、京都第二外環状道路の整備促進などを挙げていること(38頁)に見ることができる。しかし、こうした道路建設推進政策は3つの観点から否定されるべきである。

        第一に、「交通需要の増大」の要請に応えての道路建設がかえって自動車交通を増加させて悪循環を生じてきたという事実である。たとえば、高速道路について、近畿自動車道や阪神高速東大阪線などが供用開始になった昭和62年から平成6年までの間に、渋滞時間は62時間から100時間に増え一層深刻化している等、道路建設による道路容量の拡大が交通流の円滑化をもたらさないどころか一層の混雑化をもたらしていることが指摘されている。1986年に完成したロンドン外周道路M25を契機として英政府に提出された報告書「幹線道路と交通の創出」も、明確に道路建設が交通量を増加させているとを指摘し、これを「誘発交通」と命名している。素案において計画・整備推進すべきとして挙げられている道路の建設を推進することは、「誘発交通」を発生させ、なお一層自動車交通の渋滞・交通事故を増加させることは必至である。

        第二に、道路建設推進政策は、自動車公害を増悪させることになる。1980年代を通じて大都市の大気汚染の主役は、工場排煙型の硫黄酸化物・窒素酸化物から自動車排ガス型の窒素酸化物・SPM(浮遊粒子状物質)へと変化するとともに、騒音等の公害の発生を惹起し、さらに地球温暖化の最大の原因であるCO2の排出量も増大せしめた。道路建設による自動車公害増悪の事実を前に、近年の司法判断も、国等の道路公害責任を認める流れを定着させている。すなわち、高速道路沿線住民が、騒音及び排気ガス中のSPM(浮遊粒子状物質)により受認限度を越える被害を受けた事実を認めて、国等の道路設置管理の瑕疵を肯定した最高裁1995年(平成7年)7月7日国道43号線訴訟判決、或いは、国、道路公団の道路公害責任を前提として、交通負荷の軽減を諸施策の実施を内容とする和解を成立させた西淀川公害訴訟及び川崎公害訴訟、一定数値以上のSPM(浮遊粒子状物質)の排出差し止めを認めた尼崎大気汚染公害訴訟第一審判決などである。京都市においても、自動車が排出ガスによる大気汚染や騒音、振動等の公害の発生源となっていること、自動車から発生する排出ガスや騒音の規制の段階的強化を上回る自動車交通量、特にディーゼル車の増加により、自動車排出ガスの寄与の大きい二酸化窒素やSPM(浮遊粒子状物質)による大気汚染が、ここ数年来改善の傾向はみられず横ばいで推移していること、自動車騒音についても、主要幹線道路における環境基準の達成状況は低く、沿道環境は改善されたとはいえない状況にあることが指摘されている(「京都市の環境−平成11年度−」)。京都市における、大気汚染物質の環境基準達成状況を自動車排ガス測定局についてみると、二酸化窒素、SPMともに50%に過ぎない。京都市環境保全基準に照らすと二酸化窒素については達成率は0%である。新聞報道によると、環境庁は、改正自動車NOx法において、多数の自動車を使用する事業者に排ガスの削減計画の作成を義務づける対象となる「特定地域」に京都府に拡大する旨の提案しているが、これも、京都府における自動車による大気汚染の増悪状況を踏まえてのことである。このような大気環境の現状の上に、さらに、上記道路の計画・整備を促進すれば、さらなる環境悪化をもたらすことになる。とりわけ、大量の自動車を都心に招き入れることになる京都高速道路5線については、環境負荷の影響が大きいと考えられることから、建設についてはより慎重な対応が望まれる。

        第三に、上記道路計画について実施された環境アセスメントで、SPM(浮遊粒子状物質)についての調査が行われていないという致命的な欠陥がある。大気中に漂う微粒子SPMは、肺がんなどの呼吸器疾患を引き起こす危険性が高く、近年急速にその研究が進んでいる。SPMについての評価を欠いたアセスメントは現在においては意味をなさず、前記道路についても、再度SPMを評価項目に入れたうえでやり直すべきである。


      4. 素案が提案する、「歩くことが楽しくなる京都の町並みづくり」、「京都の新しい環境配慮型観光の推進」、「公共交通・自転車利用などを促進する環境にやさしい交通体系の創出」、「安全に配慮した自転車利用の促進と啓発活動」、「環境負荷の少ない自動車の普及促進」、「市バスや公用車の低公害車導入促進と排ガス削減を図る『エコ・アクションガソリン10%削減運動』」、「大気と自動車排ガスの汚染状況を監視する大気汚染対策」、「『新自動車公害防止計画』を策定し、総合的な取り見を推進する自動車公害対策」、「安全に配慮した自転車利用の促進」、「自転車走行空間の整備」、「有機的な公共交通ネットワーク」等は、道路建設によって自動車交通を誘発する施策を断ち切り、「環境への負担の少ない持続可能なまち」の実現に有効なものである。しかし、それを具体化するための施策が各論において表れていない。たとえば、「歩くことが楽しくなる京都の町並みづくり」の実現を目指すのであれば、自動車の乗り入れ規制、パーク・アンド・ライド、ロードプライシング、などの真の意味での自動車交通需要管理政策を導入する必要がある。また、「公共交通・自転車利用などを促進する環境にやさしい交通体系の創出」を実現するためには、単に、「自転車走行空間の整備」とするのではなく、車線削減のうえ自転車専用道路を設置することや、新型路面電車の導入など、いまや欧米等の成熟都市の多くが採り入れている具体的政策の導入こそが検討されるべきである。

        また、素案は、「需要に見合い地下鉄と有機的に連携したバス路線網の再編」、「乗合バス事業の需給調整規制廃止に伴う対応策の実施」を挙げるが、これが、安易な需給調整に陥りいわゆる赤字路線の廃止に繋がることのないよう、高齢者、障害者等交通弱者の足としての公共交通機関の整備充実を図るべきである。

        また、「歩くことが楽しくなる京都の町並みづくり」、「だれもが歩きたくなるような安全快適なまちの実現」として「御池通シンボルロードの整備事業による歩道整備」を挙げるが、シンボルロードの整備事業等まちづくりにかかわる整備は、京都市のまちづくりの観点から、計画策定段階から、市民の意見の聴取、尊重が図られなければならない。



    3. 市民参加について



      1. 素案は、「第3章市民と行政の厚い信頼関係の構築をめざして」において、政策形成及びその実施における市民参加の必要性を述べ市民参加を進めるためのいくつかの具体的方策に触れている。

        しかしながら、第3章を読み進めていくと、全体的には、市民参加を単に市政の円滑な運営や行政目的達成のための手法として位置づけているのではないかとの疑いを拭い去れない。素案においても、基本理念・基本原則として、市民参加が市民の権利であることを確認すべきである。


      2. 「第1節  市民と行政が情報を共有する」について

        素案では、第1節の小題を「市民と行政が情報を共有する」とし、その基本的方向として、「行政情報の積極的な公開やさまざま情報媒体を通じた広報とともに、市民との意見交換や対話を通じ、市民ニーズを的確な把握し、情報を共有していく。」と述べている。

        しかし、市民参加の視点で重要なのは、行政が市民に対して広く情報を開示するとともに、行政が市民の意見を聴取・反映することであって、「情報の共有」という表現ではその意味が曖昧になる恐れがある。

        よって、第1節の小題は、「市民への情報開示と市民意見の聴取・反映」とし、基本的方向は、「行政は行政情報を積極的に公開し、さまざまな情報媒体を通じて広報を行う。また、市民との意見交換や対話を通じ、市民意見を積極的に聴取していく。」と改めるべきである。


      3. 「第2節市民の知恵や創造性と行政の専門性を基に政策を形成する」について



        1. 第2節は表記の小題のもと、基本的方向として、「政策形成過程におけるさまざまな段階で、広範な市民参加の下に、多彩な市民の知恵や創造性が生かされ、市民にわかりやすい形で政策形成を行う。」と述べている。

          しかし、この節の小題と基本的方向は、政策形成の主体はあくまで専門家である行政であり、市民は行政に対して知恵と創造性を提供する立場であることを前提としているように思われる。今日、地方行政への市民参加が唱えられる所以は、市民参加が憲法の保障する国民の権利だからである。「市民の知恵と創造性を生かす」という表現では、この市民参加の意義が矮小化される恐れがある。

          よって、第2節の小題は、「市民参加の形態と制度化の枠組み」とし、基本的方向は、「政策決定前の早い段階から、政策形成過程におけるさまざまな段階において、多様で実効的な参加制度を採り入れることにより、市政へ市民意見が反映され、政策決定が市民に対して透明化されるようにする。」と改めるべきである。


        2. 市民参加のための具体的制度として、以下の点を明記すべきである。



          1. 審議会等において市民からのヒアリングを行うこと素案は審議会等委員の公募制や審議会等の公開を挙げるが、市民意見をより聴取できるよう、市民からのヒアリングを行うことについても明記すべきである。


          2. パブリックコメントの制度化については、市民意見に対する応答義務を定めること。この定めがないと、パブリックコメント制度は本来の趣旨と逆行し、行政の定めた政策にお墨付きを与える役割を担わされることになりかねない。


          3. 市民からの政策提言の受け皿制度を設定することパブリックコメント制度は、行政側から案を公表して市民意見を聴く制度であるが、それとは別に、市民からの積極的な政策提言を受け付ける制度を作る必要がある。


          4. 戦略的環境影響評価制度素案は、「政策形成過程において市民が事前に評価できるしくみづくり」をあげるが、より明確に、「政策や上位計画における市民が参加できるしくみづくり(戦略的環境影響評価の制度化など)」と書くべきである。


          5. オンブズマン制度、住民投票政策形成への市民参加の具体的方策については、オンブズマン制度、住民投票制度の検討が不可欠である。これらの制度の具体的内容の検討を開始すべきである。





    4. 基本計画策定の手続きについて

      京都市は、今回、素案に対する市民の意見募集(パブリックコメント)を実施した。パブリックコメントの実施は、市政における市民参加のひとつの方法として評価できるものであるが、市民意見の反映の実効性を確保するためには、次のような手続きが不可欠である。



      1. 市民意見に対し、それをどのように反映したのかの応答を公表すべきである。本パブリックコメントの実施要領の中では、募集結果として「事務局において整理したうえ、審議会に資料として提出し、今後の審議の参考とさせていただきます。」とあるが、市民意見の概要が審議会に報告されるだけで、その意見をどう評価してどのように反映させたのか(反映させなかったとしたら、その理由)についての応答がされなければ、単に市民意見を聞くだけの手続きに堕してしまう。市民意見が審議会において実質的に検討され、基本計画にそれが反映されることを保障するために、市民意見に対する応答は不可欠である。


      2. 京都市基本構想等審議会において、直接市民意見を聞く公聴会を行うべきである。市民意見を反映させる方法として、市民の意見を直接に聞き、審議会委員と質疑・対話を行う公聴会を開催することが有用である。審議会には、審議会事務局(京都市総合企画局政策企画室)が要約した意見が提出されることも考えれば、京都市基本計画のような重要な基本計画の策定手続きにおいては、ぜひとも公聴会を実施すべきである。


      3. 今回のパブリックコメントは、意見募集期間が本年8月24日から9月29日までと短期間であり、募集期間の延長を検討すべきである。





            
                                        




以上

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