「当会の会員襲撃事件に対する会長声明」(2013年8月29日)


  2013年(平成25年)8月8日午後6時30分頃、当会の会員が、帰宅途中、京都市内の路上で男性に突然襲われ、アイスピックのようなもので腹部を複数刺され、刺し傷が肝臓にまで達する傷害事件が発生した。
  男性は、同弁護士に以前事件の代理を委任していた元依頼者であるが、委任関係は既に4年以上前に解消されており、その後の接触はなかったということであり、逆恨みからの犯行と思われる理不尽な事件である。
  暴力はそれ自体人間の尊厳を踏みにじる許しがたい行為であり、いかなる理由があろうとも正当化できるものではない。弁護士は、その職業柄、他人間の紛争の渦中に身を置かねばならず、その中にあって弁護士の使命を果たそうとすれば、相手方のみならず、依頼者に対する関係でも、非は非とする毅然とした態度や意に沿わない考え方を示さざるを得ない場面があるのであって、そのため、逆恨みや反感を受けるおそれは常にあると言わざるを得ない。しかしながら、弁護士は、司法の一翼を担う重大な役割を国民から負託を受け、弁護士法により基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命を帯びており、そのために、弁護士自治が確立し、それぞれ独立した立場にある。ただ、その重大な使命を背負う生身の身体は、一人ひとりの責任で自ら守っていく他ない。
  それ故、かような暴力行為による弁護士業務への妨害は、重大な使命を背負う弁護士に対する許し難い不当な攻撃であり、正義への真っ向からの挑戦である。
  当会は、今回の事件につき激しい憤りを感じるとともに、かような理不尽で卑劣な暴力による弁護士業務への妨害行為に対して決して屈することなく、今後とも弁護士がその使命を全うすることを全力で支えることを誓うものである。

2013年(平成25年)8月29日


京  都  弁  護  士  会

会長  藤  井  正  大
      

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