意見書

「京都迎賓館」建設計画に関する意見書(2000年10月19日)


2000年(平成12年)10月19日

京都市長 桝本  頼兼    殿
京都弁護士会
会長    三  浦  正  毅



  1. 新聞報道によれば、京都市は、京都御苑内での「京都迎賓館」の建設に向けて、京都府と連携して、用途地域の変更などの都市計画法上の手続を開始する方針を明らかにしたと伝えられている。

    当会は、これまで1994年6月10日と98年8月10日の2回にわたり、京都御苑における「京都和風迎賓等施設」建設計画について関係機関に意見書等を提出してきたが、「京都迎賓館」建設に向けて、都市計画法上の手続が開始されるにあたり、改めて以下のとおり意見を述べるものである。


  2. 京都御苑は都市計画公園であり、同時に、用途地域として第2種中高層住居専用地域に指定されていることから、公園施設や住居に該当しない「京都迎賓館」のような建築物は、現行の規制のもとでは建築することができないこと等、建設計画の法的問題点は、さきの意見書で指摘したとおりである。

    そこで、京都市は御苑内の建設予定地に建設する「京都迎賓館」を都市施設に指定し、都市計画公園から除外するとともに、用途地域の指定では、第2種中高層住居専用地域から第2種住居地域に変更する予定であると伝えられている。

    しかしながら、一施設の建設のために用途地域の指定替え及び都市計画公園区域からの除外という都市計画の変更を行なうことは、都市計画法の目的―――「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与すること」(都市計画法第1条)―――に反し、都市計画全体の整合性確保の観点からみて、あまりにも便宜的で、整合性・一貫性を欠くといわざるをえない。加えて、1996年6月、京都府・市の審議と手続を経て、用途地域の指定替えを告示したばかりであるのに、これを一施設の建設のために短時日の間に変更する結果になることに鑑みると、整合性・一貫性の欠如はより一層顕著である。

    したがって、「京都迎賓館」建設のために上述のような都市計画法上の手続きをすすめることは、都市計画法の趣旨に反するものであり、当会の先の意見書において述べたとおり、建設計画はこれを一旦中止したうえで、京都御苑内における建設の是非を改めて検討すべきである。


  3. 本年4月1日から施行された都市計画法の改正により、都市計画の決定・変更については、これまで知事の権限とされていたものが市町村に大幅に委譲されることになった。これにともない、今回予定されている都市計画の決定・変更も公園の区域変更を除き、京都市において行うものと考えられる。

    ところで、上記の都市計画法の改正により市町村に都市計画審議会が置かれているときは、当該都市計画審議会の議を経て、都市計画を決定するものとされており(都市計画法19条1項)、都市計画の決定・変更のうえで、市町村の都市計画審議会が重要な役割を果たすことになった。

    当会はこれまでも、住み良いまちづくりをすすめるうえで、都市計画の決定手続への市民参加が不可欠であり、このため公聴会の開催や都市計画審議会への市民参加の保障などを提言してきたところであるが、「京都迎賓館」建設にともなう都市計画の決定・変更手続を行うにあたって、少なくとも以下のような措置をとることが最低限必要であると考え、そのことを関係機関に要望するものである。




    1. 都市計画法上疑義があり、かつまた市民の間で意見が分かれる今回のような都市計画の決定・変更にあたっては、公聴会を開催して広く市民の意見を聴く機会をもうけること。


    2. 都市計画審議会の審議は市民が傍聴できるよう公開するとともに、その審議のなかで市民に意見陳述の機会を保障すること。



    京都御苑内における「京都迎賓館」建設のために、都市計画の決定・変更手続を行うことは、上述したとおり都市計画法の目的及び都市計画の整合性の確保に照らし、本来許されるべきではないが、上記のような手続を行うとすれば以上のような市民参加を保障するための具体的な措置をとり、市民の意見を尊重して、改めて建設の是非について、慎重な検討を行なうことが必要不可欠である。


                                    

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