会 長 久保井 一 匡 殿
会 長 三 浦 正 毅
基本的立場
当会は、72条問題について、平成11年10月14日付け「司法改革に関する意見書」において、すでに次の趣旨の意見を述べた。
また、同意見書において、弁護士偏在問題(地域的偏在・事件的偏在)について、次の趣旨の意見を述べている。
当会の上記意見は、基本的に改める必要は認められない。
(なお、知的所有権など特殊専門的分野については、上記弁護士人口の増加と、弁護士と隣接専門他士業との協同化を推進することにより対処すべきである。)
「基本指針(案)」に対する意見
確認事項1について
同2について
同3、4について
当会の意見は上記1の通りであるが、弁護士法72条問題は政治問題化していることから、仮に隣接各士業者の活用が避けられないとすれば、以下の通り考える。
はじめに
司法書士について
補佐人資格
自ら作成した裁判所に提出する書類にかかる、簡易裁判所の少額訴訟事件、通常民事事件に限って補佐人資格を認めるのが限度であろう。この場合、憲法、民法、商法、民事訴訟法について、相当レベルの筆記による試験を資格取得の要件とすべきである。(補佐人資格を認められると、裁判所の許可は要しないことになる。)
なお、この制度を過渡的対応と位置づけるならば、弁護士人口の適正な増加等により対応できるようになれば、廃止することになるであろう。
(理由)
司法書士は、裁判所に提出する書類の作成を業務としており、自ら作成した裁判所に提出する書類にかかる民事事件について、その延長として補佐人となる資格を認めることは考えうる。しかし、上記 I の事実、補佐人は当事者又は訴訟代理人とともに出頭しなければならず、当事者又は訴訟代理人に取り消し、更正権があるとしても、相当の訴訟行為ができる地位であることに違いはないことからすると、司法書士一般に補佐人資格を認めるべきではなく、資格取得試験を要件とすべきである。そして、上記補佐人資格は、司法書士の専門業務以外にかかわることからすると、上記内容の試験が必要である。
なお、上記意見は現在の事物管轄を前提としており、簡易裁判所の事物管轄の拡張には反対である。
法律相談権限
「基本指針(案)」の法律相談権限を認めることには反対である。上記iiiの通りである。
示談交渉代理権限
示談交渉代理権限を認めないことに賛成である。
弁理士について
共同訴訟代理権限
共同訴訟代理権限を認めることには反対である。
(理由)
弁理士は、取消訴訟等に関する訴訟代理権(同法6条)、特許等に関する事項の裁判所における補佐人資格(同法5条1項)が認められている。侵害訴訟についても補佐人資格があるのであるから、共同訴訟代理資格を認める必要はない。
法律相談権限
「基本指針(案)」の法律相談権限を認めることには反対である。
(理由)
弁理士は、特許等の手続に係る事項に関する鑑定(弁理士法4条1項)、特許等の売買契約、通常実施許諾に関する契約等に関する相談(同法同条3項)を認められており、これ以上の法律相談権を認める必要はない。
示談交渉代理権限
「基本指針(案)」の示談交渉代理権限を認めることには反対である。
(理由)
弁理士は、特許等の手続についての代理権(同法4条1項)、特許等に関する仲裁事件の手続についての代理権(同法同条2項二号)、特許等の売買契約、通常実施許諾に関する契約等に関する代理権(同法同条3項)を認められており、これ以上の法律相談権を認める必要は認められない。
税理士について
出廷陳述権
「基本指針(案)」の一般的な出廷陳述権を認めることには反対である。
自ら作成した税務書類にかかる税務訴訟について、補佐人資格を認めることが相当であろう。