「特定秘密保護法案の衆議院での採決に抗議し、廃案を求める会長声明」(2013年11月28日)


  去る11月26日、特定秘密保護法案が衆議院において可決され、参議院に送付された。
  同法案については、特定秘密の範囲が曖昧かつ広範であるため、解釈・運用によっては知る権利を侵害するおそれがあること、取材活動が広く制限され、報道機関等の取材・報道の自由を侵害し、言論の自由に対する萎縮効果をもたらすものであること、適性評価制度の導入により、対象となる者及びその周辺の者らのセンシティブ情報を行政機関が収集することとなり、プライバシーを侵害するおそれが極めて高いことなどから、当会は、2012年(平成24年)6月21日に「秘密保全法制定に反対する会長声明」を、本年9月26日に「『特定秘密の保護に関する法律案の概要』に対する会長声明」をそれぞれ発表し、国会へ提出しないよう求めてきたところである。
  しかしながら、本年10月25日、政府は同法案を国会に上程し、上述のとおり衆議院を通過して参議院に送付された。
  衆議院における審議の過程において、同法案に一部修正が加えられたが、同修正案によっても同法案の有する問題点は何ら払拭されていない。同修正案においては秘密の指定期間が最長60年とされたが、その期間があまりに長すぎるのみならず、7項目にわたって広範な例外が設けられている。第三者機関の設置についても、あくまで付則において検討するとされたに過ぎない。そして、プライバシー侵害のおそれが極めて高い適性評価制度については何ら見直されていないばかりか、見直しに向けた議論すらなされていない。
  去る11月25日に福島県で開かれた公聴会では、出席者全員が法案の内容に反対ないし懸念を示しており、政府としてはそれらの懸念を払拭するためにも、より慎重な審議を行うべきであった。しかしながら、衆議院においては、上記修正案について実質的な審議がほとんど行われないなど、十分な審議がなされないまま採決がなされたものである。極めて拙速と言わなくてはならず、法案のもたらしかねない重大な影響に鑑みると到底是認できない。
  当会は、同法案の衆議院での採決について強く抗議するとともに、同法案の廃案を求めるものである。

  2013年(平成25年)11月28日

京  都  弁  護  士  会

会長  藤  井  正  大



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