「外国籍弁護士を調停委員任命から排除しないことを求める会長声明」(2014年1月23日)
当会は、京都地方裁判所からの2013年(平成25年)10月25日付の推薦依頼を受けて、外国籍である弁護士を含む当会会員を民事調停委員候補者として推薦したところ、同年12月24日、京都地方裁判所から、外国籍である同会員についてのみ最高裁判所への任命上申をしないという通知を受けた。
その際の説明では、外国籍の弁護士については、「民事調停委員についても公権力を行使する公務員として日本国籍が必要であるところ、同会員については日本国籍を有しないためである。」ということであった。
しかし、そもそも「民事調停法」並びに「民事調停委員及び家事調停委員規則」には、調停委員の資格要件として日本国籍を要求する規定はなく、法令上、調停委員に国籍要件は存在しない。
また、調停委員の職務は、専門的知識経験や社会生活上の豊富な知識経験を生かして当事者の互譲による紛争解決を支援することであり、そこには強制的な契機はなく、「公権力の行使」にはあたらないことは明らかである。
歴史的には、1974年から1988年までの間、日本国籍を有しない大阪弁護士会会員を最高裁判所が西淀川簡易裁判所民事調停委員に任命していたという先例があり、今になって日本国籍を有しないことを理由に任命しない取扱いに固執する理由はない。
よって、上記説明が任命上申を拒否する根拠になり得ないことは明らかであり、京都地方裁判所が外国籍であることのみを理由に当会が民事調停委員候補者として推薦した弁護士について任命上申を拒否したことは、まことに遺憾である。このような取扱いは、不合理な差別であって、憲法14条、自由権規約26条の平等原則に違反するものである。
したがって、当会は、最高裁判所と京都地方裁判所に対し、改めて、外国籍の弁護士を調停委員への任命から排除しないことを求める。
2014年(平成26年)1月23日