意見書

住宅の品質確保の促進等に関する法律についての意見書(2000年3月8日)


建設大臣 中  山  正  暉 殿   

(建設省住宅局住宅生産課  御中)




  建設省において意見公募を行っている「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に関連して、当会は、以下のとおり意見を述べる。



第1  意見の趣旨



  1. 住宅性能表示についての評価方法の基準について

    1.評価方法につき、建築部材の品質等の評価のみを行うだけで、住宅自体の性能が評価されるような評価方法は変更し、表示される性能を有するかどうかについて評価を行うようにすること。

    2.評価機関は、設計段階において性能評価書を作成・交付した場合には、建設段階においても性能評価書を交付するべく、表示性能にかかる評価を行わなければならない仕組みにすること

  2. 10年間の瑕疵担保責任を負うべき部分についての施工令案について

      施工令案(2)3.の配水管に関する部分については、「雨水を排除するため住宅に設ける配水管」として、後段部分を削除すること。


第2  意見の理由



  1. 評価方法の基準について

    1.今般、公開された住宅性能表示基準・評価方法の基準においては、例えば、空気環境に関する評価方法の基準に見られるように、個々の使用材料が一定の基準を満たしているかどうかで評価し、これを表示するような仕組みとなっている。

      確かに、設計段階で評価するためには、現実的には個々の使用材料について判断するしか方法がないのかもしれない。

      しかし、例えば、クロスを貼る際の接着剤がホルムアルデヒドを発散するようなものであれば、空気環境が表示性能を持たない場合もあり、こうした事は建設された住宅自体の空気環境を調査することで判明する。住宅購入者にとってみれば、個々の使用材料が適合的なものであるかどうかが問題なのではなく、購入した住宅自体の空気環境がどのようなものであるのかが重要であることは言うまでもない。

      本来、性能表示制度の趣旨は、個々の使用材料が如何なるものであるのかという点を表示することに意義があったわけではなく、最終的な住宅それ自体がどのような性能を有するかを表示することに意義があった。こうした性能表示制度の本来的趣旨からすれば、設計段階では、技術的限界から個々の使用材料を問題にせざるを得なかったとしても、建設段階で、性能表示制度本来の表示性能を有するか否かの確認手段がある以上、建設段階では、そうした調査確認を行い、表示もこれに沿った表示を行うようにすべきである。

      このように設計段階での評価と建設段階での評価を有機的な関連を持たせたものとすることによって、住宅本来の表示性能の有無の確認ができると考える。単に、設計段階での評価どおりの使用材料を使用しているのかどうかだけの確認では、住宅自体が本来の表示性能を有しているのか否かについては未確認となり、住宅購入者は不測の損害を被る可能性を残すことになる。



    2.そして、このように設計段階での評価と建設段階での評価の有機的関連を持たせるためには、設計段階での評価のみを受けて、建設段階での評価を受けないという業者をできる限り排除しなければならない(この点については、建設省の説明でも前提とされていたことである。)。ところが、現在の法文上では、設計段階での評価のみを受けるという場合を排除しているわけではなく、むしろ、法文上からはそうしたことも許容されるかに見える。そして、今般
    の評価方法の基準においても、同様に設計段階での評価のみに留めることを必ずしも排除する趣旨には見えない。

      したがって、評価方法の基準の総論として、各評価機関は、設計段階での評価の申請を受けた場合には、当然に建設段階での評価も行うようにするなど、設計段階での評価と建設段階での評価が有機的に関連できるようにする方策を盛り込むべきである。






  2.   10年間の瑕疵担保責任を負うべき部分についての施工令案について

      今般公開された施工令案のうち(2)3.では、「雨水を排除するため住宅に設ける配水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分」とされており、配水管の内、住宅内にある配水管のみが問題とされている。しかしながら、これでは、例えば屋内を通
    った配水管それ自体には欠陥がなく、住居よりも外の地中等の配水管部分の構造等に欠陥があり、大雨が降った場合に排水が逆流して住居内が水浸しになったような場合には、10年間の保証が受けられない可能性が残る。

      瑕疵担保責任を10年間に伸長し、これを強行法規化した趣旨は、住宅取得者にとって極めて重大な損害が生じるような瑕疵についての責任を強化することにより、より高品質な住宅の供給をすることにある。このような趣旨からすれば、前述の配水管からの逆流による雨水の浸入と、屋根・外壁からの雨水の侵入とを区別
    する理由は全くない。

      したがって、配水管についての対象部分を住宅の屋内に限定する必要も全くないのである。




  3.   以上より、意見の趣旨記載のとおり、評価方法基準、施工令を改訂するよう求めるものである。







  2000年(平成12年)3月8日

京  都  弁  護  士  会

会  長    村  山      晃

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