みなさん、はじめまして。


  弁護士の熊野敦子と申します。
と申し上げましたが、私は京都の企業(株式会社ワコールホールディングス)に所属し、法務を担当する部門の一員として働いており、弁護士であると同時に社員でもありますので、日頃は「弁護士の・・・」と名乗る機会もさほど多くありません。

  会社や行政機関等の組織に所属して組織の一員として働く弁護士は、“組織内弁護士”や“インハウスローヤー”略して“インハウス”と呼ばれており、弁護士全体の数に対しては、まだまだとても少ないですが、東京を中心に近年増えてきています。

  インハウスの仕事は、日本全国に多数存在している企業の事業内容が各会社・各業種ごとに異なっているのと同じく、本当に様々ですから、一口に「インハウスの仕事はこういう仕事」「○○がインハウスのやりがい」とまとめることはできませんが、多くのインハウスは、社内の各部門から相談を受け、法的アドバイスを行うという仕事をしていると思います。私もそのような業務を行うことが多いですが、ささいな疑問や不安でも気軽に相談できるホームドクターのような役割を担う大切な仕事だと感じます。色々な部門の担当者から、なるほど!よく分かった!ありがとう!と言ってもらえると嬉しいですし、反対に、いつまでも腑に落ちないすっきりしない表情をされたり、何気なく使ってしまった言葉使いが分かりにくいと言われたりすると、もっともっと分かりやすく伝えられるよう意識をしなくちゃ!と気が引き締まります。

  また、日常業務から少し離れて、新規の事業等のプロジェクトに入り、担当者と一緒になって時間をかけて何かを作り上げていく機会が比較的多くあるのも、インハウスの仕事の特徴だと思います。法務部門と言えば、“各担当者が練り上げた企画にNoと言いストップさせる固い部門”という印象を持たれる方も少なくないかもしれませんが(現実に、もし会社が悪気や自覚が無くとも、法律に反することをしようとしていれば、それを止める役目は担っています)、実際には、法的に問題のある企画内容について、ただNoと言って終わらせるのではなく、プロジェクトが達成すべき目的を果たすために、他に手段はないかという点に頭を悩ませています。各担当者が知恵を絞って作り上げた企画に代わる手段なんて、そう簡単に見つかるものではなく、本当に大変な仕事ですが、その分とてもやりがいを感じています。

  会社に弁護士がいることの具体的なイメージはお伝えしにくい部分もありますが、そんな弁護士もいるんや~と思って頂ければ幸いです。

熊野  敦子(2010年6月21日記)


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