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今から5年前。私は、人権擁護のため日夜活躍されている弁護士の姿にあこがれ、思い切って仕事を辞めて法科大学院(ロースクール)に入学しました。
在学中の3年間は、わずかな貯蓄を使い果たしたうえ、「奨学金」という名の借金をしたり、勉強に支障のない程度でアルバイトをするなどして、なんとか学費を工面していました。
司法試験に合格するまでは経済的にカツカツでしたが、合格後から弁護士登録をするまでの司法修習の期間(1年間)については、国から給与が支給されていたので、その間はお金のことを心配することなく修習に励むことができました。大変ありがたく感じました。
ところが、今年の11月から、この司法修習生に対する給与(給費制)が廃止されるとのことです。
「弁護士になって利益を得るのはその人個人なのだから・・・。財政難の時代に、弁護士だけ特別扱いしていては国民の理解を得られない」というのが理由らしいです。
しかし、私は「弁護士になって利益を得るのはその人個人なのだから」という「受益者負担」の考え方はすごくキケンだと思うのです。
確かに、弁護士は、ご依頼いただいた事件に応じて報酬をいただきます。でも、一方で、多くの弁護士は「基本的人権の擁護と社会正義の実現」という弁護士法1条に示された社会的使命を自覚し、公益に適ったさまざまな活動にとりくんでいます。おこがましい言い方かも知れませんが、良質な弁護士を国が育てることは国民全体の利益にもなるはずです。
私自身も、司法修習生として給与を受けたことで、「自分のためだけに弁護士になるのではない」という思い、一種の公的使命感みたいなものを植え付けられました。
極端かも知れませんが、このまま司法修習生に対する給費制が廃止されてしまえば、「自分の利益のためだけに弁護士になる」という発想から、弁護士資格が単なる「営業上の資格」「金儲けの道具」というとらえ方が社会全体に浸透してしまうのではないかと危惧しています。
弁護士の公的性格を失わせないためにも、司法修習生に対する給費制は維持されるべきです。
いま、弁護士会の一員として、この問題を市民のみなさまにお伝えすべく、さまざまな活動にとりくんでいます。
とりわけ8月28日にはシンポジウムが開催されますが、それにあわせて、私も含めた弁護士らによる劇団が結成されました! シンポジウムでは、このにわか劇団による寸劇にて、この問題をわかりやすくお伝えしたいと思います。