負けて強くなる京都 「日弁連野球全国大会 結果報告」
こんな素晴らしいチームの一員として全国大会に参加できて私は幸せです。
2010年9月8日付の当コラム(担当:井戸弁護士)でご報告しましたとおり、京都弁護士会野球部が7年ぶりに日弁連野球全国大会に出場しました。
日弁連野球全国大会は今年で30年。今年は26のチームが参加し、予選を勝ち上がった8チームで決勝トーナメントが行われました。
決勝トーナメント出場の8チームは、北から、仙台フェニックス・東京弁護士野球クラブ・横浜マリナーズ・名古屋ローヤーズ・京都弁護士会野球部・大阪弁護士野球団・北九州マッツ・ボルケーノ熊本です。
中日ドラゴンズの本拠地ナゴヤドームで、ペナントレース真っ盛りの9月14日・15日、熱戦を繰り広げました。
全国に至るまでの道程については井戸弁護士のコラムをご参照いただき、本稿では、全国大会の結果をご報告します。
京都の1回戦の相手は、なんとディフェンディングチャンピオン大阪です。大阪は、前大会において、1999年から2008年まで10連覇を成し遂げた東京を破って優勝し、今大会の優勝候補筆頭に挙げられていました。
京都と大阪との今期の対戦成績は、2戦2敗(4月24日:3-6、5月15日:2-14)。いずれも圧倒的な力の差を見せつけられ、完敗しました。
しかし、これらの敗戦が京都を成長させました。
大阪との敗戦後、緊急ミーティングを行い、大阪との差はどこにあるのか、自分たちに何が欠けているのかを徹底的に議論し、練習に反映させました。欠けていたのは、次の塁への意識・目的をもったバッティング・正確な守備、そして、勝つという決意と覚悟でした。
練習時間は週1回2時間程度しかとれません。これを物理的に増やすのは不可能です。そこで、ミーティングの結果を踏まえて、練習時間を最大限に効率化し、集中して練習しました。目的を明確にした練習を重ねることにより、チームの決意と覚悟が変わりました。
そして、9月14日を迎えました。15時プレイボール。京都が先攻です。
1回表はランナーを出すも攻めきれず、1回裏大阪の攻撃。津田投手がランナーを背負う立ち上がり、これまでであれば先制点を取られていた場面で津田投手が踏ん張り、「いつもとは違う」空気を作り出しました。
そのまま3回裏まで0-0。
4回表、我らがキャプテン小嶋二塁手が相手のエラーで出塁すると、1球目にすかさず盗塁を決め、続く2球目も3塁へ盗塁を敢行しました。次の塁への高い意識が大阪との敗戦から学んだ新しい京都の武器です。これが相手捕手のエラーを誘い、小嶋二塁手が一気にホームイン。見事に先制しました。
さらに、武田捕手兼監督が、セフティーバントを試み、相手守備のエラーを誘い、2塁まで進塁しました。長身の武田捕手がまさかの小技。相手の意表をつく鋭い攻撃でチャンスを拡げると、「京都弁護士会で最も雰囲気のある打者」と評された稲垣左翼手が、左中間にタイムリーヒット。なんと2点を先制しました。
前回覇者がそのまま沈黙しているはずがありません。先制直後の4回裏、あっという間に同点にされてしまいました。しかし、津田投手が気迫のピッチングで逆転を許しません。またも流れる「いつもとは違う」空気。
その直後の5回表、京都史上最高のリードオフマン西村中堅手がフォアボールで出塁し、俊足を活かし3塁まで進むと、相手捕手にプレッシャーをかけ、得点をもぎ取りました。3-2です。ベンチに戻ってくる西村中堅手の気迫に溢れた姿が非常に印象的でした。
その後、チームの集中力は最終回まで途切れることなく、無失策で1点を守りきり、3-2のままゲームセット。大金星を挙げました。
整列の際、最も悔しいはずの大阪の橋田監督が、武田監督に、「よく頑張ったな。」と声をかけてくれました。感涙にむせび、声にならない声でエール交換をする選手にもらい泣きしそうになりながら、準決勝に備えてナゴヤドームを後にしました。
翌日、対戦相手は横浜マリナーズ。大阪戦に全てを出し尽くした京都は、ウソのようにボロ負けしました。
しかし、負けて強くなる京都です。
既に、全国大会優勝という大いなる目標をしっかりと見据えて再出発を切っています。
最後になりましたが、全国大会出場に際してカンパをくださった皆様方をはじめ応援してくださった皆様方へ、この場をお借りし、野球部一同、心より御礼申し上げます。皆様方の御陰で、大阪に勝つという大きな成果を挙げることができました。
本当にありがとうございました!