金魚すくい


  先日、伏見にある御香宮のお祭りに行きました。3歳になる息子が金魚すくいをしたいというので、金魚すくいをすることにしました。
  境内には長い参道があり、お祭りの日には参道いっぱいに露店が出ます。多くの人でごった返す中、露店を眺めながら歩いていくと、ありました、お馴染みの金魚すくいの店が。
  店のお姉さんにお代を支払い、例の金魚すくいの網とお椀を受け取ります。金魚すくいの網はポイというそうです。
  息子はまだ3歳なので、ポイをすぐに破ってしまうのがオチです。そこで、まず父である私が見本を見せることにしました。小学生ぐらいのときにやった記憶があるくらいで、それ以来ずっとやっていません。おそらく20数年振りの金魚すくいです。
  手にしたポイを、おそるおそる水槽の中に入れてみました。なんとも言えない緊張感。1匹も取れずに終わってしまっては、父として格好がつきません。なかなか金魚もすばしっこく、じっとしていてはくれません。ゆっくりポイを近づけると、ひゅっと逃げてしまいます。
  一息ついて、動きの遅そうな金魚はいないものかと見渡してみると、ちっちゃな金魚が水面付近をゆっくり泳いでいました。よし、こいつだと思い、水を切るようにゆっくりポイを水中に入れていきます。ポイをそのまま金魚の下まで持って行き、金魚が泳ぐのに合わせてスライドさせていきます。そのままそーっと水面方向に上げていくと、上手くいきました。金魚1匹GET!
  気をよくした私は、次の金魚を狙うべく水槽内を物色。いました、水面付近をゆっくり泳いでいるやつが。そーっとポイを水中に入れ、金魚の動きに合わせゆっくり水面に引き上げます。やりました2匹目GET!なんだか自信が沸いてきました。
  さらに3匹目、4匹目、5匹目とGET!だんだんと得意な気分になってきました。横で替わってとねだる息子の声はもう耳に入りません。
  さらに続けて、金魚をGET!時間のある限りずっと取れそうな気がしてきました。周りにはギャラリーもいるようで、「わ、いっぱい取ってる」というような声も聞こえてきます。完全に得意な気分になりました。
  10分程経ったでしょうか、お椀の中には、10数匹の金魚が入っていました。見本を見せるという当初の目的も忘れ、息子を押しのけすっかり楽しんでしまった私です。
  存分に満喫した後、ようやく息子に替わることにしました。
  そして、ポイを息子に渡したところ、
「おい!紙のとこ持ったらあかんやんか!あーあ・・・」

  今日も息子と一緒に金魚を眺めています。

鎌田  健司(2011年12月19日記)

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